過去ログ - かずみ「from Connect to Luminous」
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/26(土) 22:43:40.57 ID:rV1mNpfso

  意地悪だとは思わない。
カオルはカオルなりに普段のように接しているだけなのだと分かっているからだ。
特別扱いしないことでかずみの心を傷付けないようにしている。
その思いやりがかずみには嬉しかった。

  あらためて思う。自分は幸せ者だ。

  記憶を失い、ふらふらと夜の街を歩いていたとき。
かずみは間違いなく絶望していた。
何にも縋ることが出来ず、何かを呪いたくなるような気持ちだった。
辛いと、心の底から思っていた。
何も憶えていない心細さに涙を流しそうになりもした。

  だが、それは違った。

  立花やカオルのような人と出会ってそれが良く分かった。だから、

「むっ、奥の部屋がわたしを呼んでいる!」

「なんだそりゃ」

  カオルの思いやりに応えるように、かずみは"かずみ"を演じてみようと思った。
複雑ではある。心配もしている。
記憶を失ったかずみの本質と"記憶の有るかずみ"の本質はおそらく違うだろう。
どこまで上手くやれるかは分からない。

  しかし、それが今の自分に出来る精一杯の恩返しだ。


  密かな決意と共に、かずみは部屋の扉を開けた――



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