過去ログ - ゆるゆるフォークロア
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1: ◆T6URQJJiS6
2013/01/29(火) 03:17:52.35 ID:tCN5p88zo

三山ゆかは宇宙人だ。

父の三山勤と母の三山幸子の間に生まれ、東京の浅草で育った彼女は正真正銘の宇宙人だ。
家は祖父の代から住んでいる、三年前に改築した庭付きの二世帯住宅。
兄弟はおらず庭では幼いころに拾った雑種のバウという犬も飼っている。
たどれば百年以上前からここに住み続ける、立派な江戸っ子宇宙人である。


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2: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:24:20.37 ID:tCN5p88zo

「――であるからして、やっぱり宇宙人なんてものは存在しないんだ」


そんな彼女の隣に座るのは根っからの科学男、双葉かおるだ。
以下略



3: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:25:31.22 ID:tCN5p88zo

「UFOは?」

「雲の見間違い、夜間飛行している新型ヘリ、酔っぱらった大人の妄言」

以下略



4: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:26:17.94 ID:tCN5p88zo

おきまりのやりとり。
問いかけるゆか。答えるかおる。
内容はいつも同じ。宇宙人はいるか否か。答えもいつも同じ。いるはずがない。
こうして今日も、ゆかの日常は守られる。
以下略



5: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:27:10.50 ID:tCN5p88zo

「ゆかは、いると思うのか?」

「かおるくんがいないって言うんなら、いないんだと思う」

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/01/29(火) 03:27:57.37 ID:tCN5p88zo
何度も同じ質問をして、何度もそれに答え、挙句の果てにはとろいとまで言われる。
そんな彼だから、相手は馬鹿に決まっているという型にはまった思考から抜け出せない彼だからこそ、ゆかは安心して側にいることが出来る。


この人は、絶対に宇宙人を信じない。
以下略



7: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:29:35.38 ID:tCN5p88zo


【 宇宙人と呼ばないで 】


以下略



8: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/29(火) 03:30:02.31 ID:tCN5p88zo
おやすみなさい


9: ◆T6URQJJiS6
2013/01/30(水) 02:37:11.15 ID:nBLz0ahUo


――祖父は光より速かった。

顔なじみの男が晩酌を交わすたびに話す身内自慢のひとつだ。
以下略



10: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:38:07.95 ID:nBLz0ahUo

彼の祖父はそれはもう快男児ここにありと言わんばかりの妖怪であったらしい。
直接お会いしたことはついぞなかったのだが、その聞きしに勝る逸話の数々は私の住む田舎にまで届くと言えば、相当のものだと推して図ることも出来よう。


以下略



11: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:39:19.79 ID:nBLz0ahUo

人の世が栄え、鉄の馬がそこかしこを駆け抜ける世の中になって妖怪たちはそれはもう困り果てたそうな。
あんなにか弱かった人間が妖怪を恐れなくなっていったのだ。

――俺は生まれちゃいねぇが、相当苦労したらしいぜ。
以下略



12: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:40:48.86 ID:nBLz0ahUo

ある者たちは山に。
ある者たちは海に。
ある者たちは谷に。
そしてある者たちは人の住む町の暗がりに。
以下略



13: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:42:02.77 ID:nBLz0ahUo

そんな韋駄天も寄る年波には勝てないのか、ついに膝をつくことになってしまう。
相手は東海道新幹線0系、通称『こだま』
日本に初めてできた新幹線だ。

以下略



14: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:43:03.41 ID:nBLz0ahUo

その時のハヤブサの顔は今でも妖怪の間では語り草だ。
時代は変わったのだと、誰もが痛感させられたらしい。

江戸が終わり。
以下略



15: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:44:18.23 ID:nBLz0ahUo

しばらくして戻ってきた彼の手には、どこからくすねてきたのか大吟醸が握られていた。
どこまで話したか、などととぼけつつコップを片手に手酌をする彼。
ハヤブサが負けたところだと話してやればわざとらしく頷いてきた。

以下略



16: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:45:44.92 ID:nBLz0ahUo
こだまに負けて以来、だんまりを決め込んでいた彼の目に浮かぶのは赤々と燃える灼熱の炎。

男ハヤブサ120歳。
還暦を二週してなお年老いた体は燃え尽きてはいなかった。

以下略



17: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:47:09.42 ID:nBLz0ahUo

8月10日、真夏の炎天下、雲一つない晴れ晴れとした空の下。

若い頃から愛用していた長ハチマキを身に着けた飛脚姿の男が一人。
浅黒く焼けた肌。スラリと伸びた細い手足。銀色に逆立つ髪の毛。
以下略



18: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:48:18.39 ID:nBLz0ahUo

結果はどうなったかって?
それはまぁ、彼の話が終わっていないからまだ言えないな。
なにせ彼ときたらカレイの小骨が喉に刺さったといって今は台所で必死にご飯を丸呑みしているんだ。悪いが笑ってしまいそうだよ。

以下略



19: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:48:54.83 ID:nBLz0ahUo





以下略



20: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:49:46.74 ID:nBLz0ahUo


【韋駄天ハヤブサ】


以下略



21: ◆T6URQJJiS6[sage]
2013/01/30(水) 02:50:13.55 ID:nBLz0ahUo
おやすみなさい


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