過去ログ - ゆるゆるフォークロア
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/02/05(火) 17:57:23.42 ID:e5/5RljRo
乙だ!


52: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:49:26.81 ID:aNOXkH5vo

世界中の鉄道員の間で語り継がれている噂がある。


――列車の見る夢
以下略



53: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:50:16.76 ID:aNOXkH5vo

夜中に使われなくなった客車から窓の外を見ると、かつてその列車が走っていた車窓の風景が写るというのだ。

誰もいない苔むした、時間が止まったような不気味な車内で、一人冷たく堅くなった座席に座り煤けた窓に目をやる。

以下略



54: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:51:20.46 ID:aNOXkH5vo

ガタゴトと揺れる振動。
ざわつく車内。
線路を走る車輪の軋み。

以下略



55: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:51:57.69 ID:aNOXkH5vo

年老いて使われなくなった列車の見る夢。

物悲しくもどこか暖かなその噂は、今も彼等の間で語り継がれている。

以下略



56: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:53:02.73 ID:aNOXkH5vo

だが、この噂はまだ終わりではなかった。
けして削られてはいけない尾ひれがあったのだ。


以下略



57: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:53:52.52 ID:aNOXkH5vo

もしこの幻を見たら、楽しむのもそこそこに目を逸らさねばならない。

それが遠い望郷の山並みでも、乗り親しんだ海沿いの風景でも、目を奪われるような絶景でも、必ずだ。
見惚れてしまいずっと目をそらさずにいると、窓の外を流れる景色が徐々にその速度を落としていく。
以下略



58: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:54:45.88 ID:aNOXkH5vo

そこには人影がまばらに並んでおり、皆一様に楽しげな笑顔を浮かべているのだ。
中には手を振ってくる者もいる。

そんな彼等の前で、列車は止まる。
以下略



59: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:55:53.47 ID:aNOXkH5vo
父が。
母が。
兄が。
姉が。
弟が。
以下略



60: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/10(日) 01:56:37.12 ID:aNOXkH5vo

【 Railway 】


1970 イギリス
以下略



61: ◆T6URQJJiS6[sage saga]
2013/02/10(日) 01:57:05.47 ID:aNOXkH5vo
おやすみなさい


62: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:38:21.18 ID:QBuO3uhto


棋士には二つの墓がある。


以下略



63: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:39:16.68 ID:QBuO3uhto

山奥のとある古びた寺院。

内陸部に広がる広大な山々の中、木々に身を潜めるようにして建つその寺の名を知るものは少ない。

以下略



64: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:40:02.47 ID:QBuO3uhto

だが世界は広い。
この寺院を必要とするものがこの世に、そしてあの世にいるのだ。


以下略



65: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:40:35.33 ID:QBuO3uhto

山肌にまかせるままに傾き、削れ、ならされた地面。
しかし明らかに人の手が入る程度には伐採されている木々。
背の高い木々が枝葉で空を覆う下、木漏れ日が光の筋を描く中にそれはある。

以下略



66: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:41:11.14 ID:QBuO3uhto

向かい合うようにして置かれた二つの石碑。
その間に置かれた石の将棋盤。

風雨にさらされ、細かい傷や汚れが目立つ石碑の間にひっそりとたたずむそれは、まるで鏡面のように光を反射し、傷一つ見つけられない。
以下略



67: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:41:52.12 ID:QBuO3uhto

棋士といえど人である。
様々な理由で息を引き取り、その身を朽ちさせていくものだ。
家族に見守られ、己に見合った場所に骨をうずめていく。

以下略



68: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:42:20.06 ID:QBuO3uhto

ここは棋士の墓。

人としての彼等ではなく、棋士としての彼等が眠る場所。

以下略



69: ◆T6URQJJiS6[saga]
2013/02/24(日) 01:43:45.66 ID:QBuO3uhto

【 対局 】


1835 山陰地方
以下略



70: ◆T6URQJJiS6[sage saga]
2013/02/24(日) 01:44:11.92 ID:QBuO3uhto
おやすみなさい


71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/04/07(日) 00:13:35.77 ID:ai933QnAo



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