過去ログ - 番外個体「笑顔に会いたい」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/02/06(水) 22:41:36.72 ID:lqWbdXMg0
「おはよう。もう8時半だ、ねぼすけ。寝坊は良くないじゃんよ」
 
洗顔をしよう、と洗面台のある脱衣所のドアを開けると、タイミングよく居候先の家主と鉢合わせ。
意外に手入れのされているキレイな黒髪をビシッと後頭部の低い位置で束ね、愛用の緑色のジャージに身を包んだ黄泉川愛穂は、
呆れた顔で寝坊常習犯に声をかけた。

「ミサカが寝坊って、いつものことっていうか、お約束っていうか?」

「生活習慣はしっかりと身につけておくに越したことはないよ。
 人間、悪い方に開き直ったら駄目だと思うし。ほら、早起きは三文の得、とも言うじゃんか」

体育会系一筋の経歴を持つ黄泉川は、ある意味おおらかで、ある意味捻大雑把な人物だった。
心の許容範囲の広さで右に出るものはきっといない。
治安維持を自ら進んで引き受け(しかも無償)、
明らかに『お荷物』になるだろう厄介な存在をあっさりと受け入れた様は番外個体も感嘆しかなかった。

番外個体然り、
第一位とちびっこのコンビ然り。

一筋縄ではいかないメンツを、「ま、いいじゃんよ!」の一言で身内にした彼女の懐の深さを推して知るべし。

しかし、生活習慣については一際厳しく躾する方針らしく、同居人である未成年メンバーは皆、何度かお小言を言われている。
唯一例外も居るが――、

「むー。ヨミカワさー、ヨシカワには何も言わないじゃん。贔屓はよくない! と、いうことで
 ミサカの遅めの起床には今後目を瞑ってほしいなー。ニャー」

「ニャー言うな」
 
まあね、と黄泉川は曖昧に笑いながら、

「確かに、それを言われるとつらいじゃん。けどな? 桔梗は自分自身でリスクやらをわかった上で自堕落な生活をしてる。生活費ももらっているし」

芳川桔梗は休職している現状をこれ幸いにして、夏ごろから自堕落生活真っ最中。
番外個体が芳川と同じ時間帯で寝起きをしようとすれば、目の前の熱血体育教師は目を吊り上げ、
鬼か般若かと見間違うほどの形相でお叱りをうけるに違いない。

差別だ、と思わなくもないが、

「なんだかんだ言ってもさ、番外個体はまだまだ子供じゃん? 
 大人が注意するのは義務みたいなもんさ! ウザいかもしれないけど、ね。
 私の言ってることも、頭の隅っこにいれとく程度でもいいしな」

なんて、頭をぐしゃぐしゃと勢いよく頭を撫でられると、それ以上の不平不満かき消されてしまうのだから、大変厄介だ。
番外個体は心中で照れくさいような歯がゆいような気持だ。


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