過去ログ - ほむら「ジョーカー様呪い、という都市伝説」
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384: ◆sIpUwZaNZQ[saga]
2013/06/16(日) 22:50:53.52 ID:ArruH2Gh0

『少年、その娘が気になるか』

「あ、あなたは?」

「上条さん!」

突如現れた男に、警戒する少年少女。
もはやぼかす必要もない。船内にいるはずのヒトラーが、上条と仁美の
前に現れていた。

『お前を想い、人としての形を失った娘を忘れられないか、
と聞いているのだ』

「さ、さやかのことか」

「駄目です、話を聞いてはいけません。
さやかさんはもう亡くなっているのです!」

だが、仁美は知らない。上条がさやかに出会ってしまったことを。
仮に知っていても彼の心の衝撃までは思いが至らないだろう。それを
彼女に求めるにはあまりにも若すぎて幼すぎた。

そして上条もそれは同じだ。さやかの最後を二人から聞いていた仁美の心を、
彼も知る由もない。

『お前の腕を直し、未来を繋げた少女。健気ではないか。
それを忘れるなど……、男として許されることなのかな?』

揺さぶる。

『私が絵を描いていたことくらいは知っているだろう?
当時の私が絵筆を持てなくれば、同じくらい苦しむだろうな』

仁美が上条の腕にすがりつきその袖をしっかりつかむ。連れて行かれまいと
必死なのだ。そう、彼の言葉は上条を誘惑しているのだと、気付いたのだ。

『そしてその腕を治してくれた女性に対して、私もお前と同じくらい
感謝をしてしまうだろうな』

そのカリスマめいた顔が笑う。そこに邪悪さがないのが余計に、仁美には
禍々しく見えた。その裏に潜む悪意が見え隠れしていたのだ。

『何よりお前は私などよりその腕を認められていたな。
羨ましい限りだ。ならばなおのこと感謝も大きかろう、な』

それはまさに悪魔の誘惑だった。



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