120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/17(日) 00:27:20.78 ID:bWGm8aPso
もともとマキさんの話とレイナさんという女の人の話を聞きたかったのだけど、そんな
風にいきなり話を変えられても、僕の考えは切り替えることはできない。頭の中で、清楚
で可愛らしい奈緒の口から出るとは思わなかった四文字の単語がぐるぐると渦巻いていた
からだ。
近親相姦。
正直に言うとそれは見慣れない単語とまでは言い切れない。趣味のゲームやアニメでは
ありがちな陳腐なシチュエーションともいえる。それが二次元限定の話だったのなら僕に
だってついていける話題だった。でもそれが現実に自分に起きると、そんなに気軽に考え
ることはできなかった。
全く血の繋がっていない明日香と付き合うときだってそれなりに逡巡はあったというの
に、奈緒の場合はどんなに幼い頃からお互いを求め合ってきた仲だとしても、父母が一緒
の本当の兄妹なのだから。
もう奈緒の話を聞くまでもなく、僕と奈緒の実母だというマキさんという人が何を心配
しているのか、理解できたような気がした。奈緒とずっと一緒に暮らしてきたマキさんに
はわかっていたのだろう。奈緒が僕を求めている気持の強さに。そして真っ当な母親なら
考えるように実の兄妹の仲が深まることに不安を覚えたのではないのだろうか。そう考え
れば父さんに僕と奈緒を仲良くさせるなっていうメールを送ったとしても無理はない。
僕がさっき激情に任せて奈緒に言い放った言葉は本心だった。
『じゃあ聞くけど。奈緒、おまえは僕の彼女になってくれるのか? 僕とエッチしてくれ
るのか。ずっと一緒にいるのはいいけど、僕の奥さんになって僕の子どもを産んでくれる
のか。実の妹のおまえには全部できないだろう。明日香とは違ってさ』
僕のそのときの言葉は、奈緒が僕とは実の兄妹であることを知っていてもなお、世間の
常識に背を向けて僕を異性として好きになる道を選んでいたのだとしたら、彼女にとって
はつらい言葉だっただろう。それなのにさっき奈緒は微笑んだ。僕の気持を確かめること
ができたからか。奈緒の告白を聞いてしまった今となっては、自分が言ってしまった言葉
を撤回したい気持でいっぱいだった。
ひょっとして僕は選択を迫られているのか。決断するようにそれとなく奈緒に催促され
ているのだろうか。
僕がいろいろ悩んでいる間にも奈緒は自分の家族の話をし始めていた。過去の記憶がな
い僕にとってはそれは重要な情報だったのだけど、このときは全く奈緒の話は自分の頭の
中に届かなかった。
「ごめん。ちょっと今はその話無理」
「どうしたの? お兄ちゃん」
奈緒が言った。でも、自分の質問に対する答を彼女は既に持っていたようだ。
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