143:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/25(月) 00:02:24.71 ID:4Y9bOK7Ho
「あんたには悪いことしたと思うけど、もう奈緒ちゃんを狙うのはやめて」
明日香が池山に言った。
「何でだよ」
風体に似合わず気の弱い声で池山が声を出した。
「この人はあたしの彼氏なの。血の繋がっていない兄だけど、将来結婚しようって決めた
仲なの。だからもうあんたとは付き合えない。奈緒ちゃんのこともなかったことにして」
「おまえはもう俺のこと好きじゃないのか」
「うん、好きじゃない。本当にごめん」
「・・・・・・本当にそいつと付き合ってるのかよ」
「うん、本当」
「遊ぶのやめたのも仲間から抜けたのも真面目な格好し出したのも・・・・・・」
「全部お兄ちゃん・・・・・・、今の彼氏のためだよ。あたしはもう真面目に生きることにした
の。そうじゃないとお兄ちゃんに悪いから」
明日香の言葉を聞いて池山は顔を真っ青にしてよろよろと立ち上がった。
「俺だっておまえに真面目になれって、真面目な格好してくれてって言ってたのにな」
「博之・・・・・・」
「俺、もう帰るわ。おい、明日香の兄貴」
突然池山が僕に話しかけた。「おまえがいきなり殴りかかってきたんだからな。俺はお
まえに謝んねえからな」
僕は黙っていた。
「あと、奈緒って子を狙うのはもうやめたから。ばかばかしいや。そんな無茶しても明日
香が俺とよりを戻さないって言うしよ。最初から俺のことなんか好きじゃなかったんだろ、
おまえ」
「・・・・・・ごめん」
明日香がまた謝った。
「ごめんって言われてもな。じゃあ」
池山が誰にともなく呟いてふらりと立ち上がった。
池山が店を出て行く頃には店内の視線は収まっていて、僕と明日香は手を繋いで並んで
座ったままその席に取り残された。向かいの席は空席のままで。
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