過去ログ - ビッチ・2
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194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/09(木) 23:30:18.24 ID:eJmhesKmo

「だってよ」

 兄友の抗議を無視して女さんが僕に柔らかい口調で言った。でもその表情はやはり優し
い何ってものじゃなかった。

「いきなりごめんね。でも、あたしたち奈緒人君が奈緒ちゃんと付き合い出したことが本
当に嬉しかったから」

「・・・・・・うん」

「でもさ、奈緒人君って最近、明日香ちゃんと仲良しじゃない」

「僕が明日香と仲良くしたら君たちに迷惑をかけるわけ?」

 こんな言い方を僕はこれまで兄友にも女さんにも言ったことはなかった。二人は申し合
わせたように少しだけショックを受けたような表情を僕に見せた。

「そんなことないじゃん。でも奈緒ちゃんがかわいそうじゃない」

「奈緒がかわいそう? 何でそうなるわけ?」

 奈緒がかわいそうとか、そういうことは僕が悩めばいいことであって、僕と奈緒が実の
兄妹であることを知りもしないでこいつらに非難されることじゃない。

「奈緒ちゃん、かわいそうじゃねえか」
 兄友が怒ったように口を挟んだ。「だってそうだろ? この前は学校まで迎えに来た明
日香ちゃんと人まで堂々と手を繋ぐは、昨日だって」

 昨日? もしかして目撃されていたのだろうか。

「昨日の夕方のことよ」

 女さんが兄友の話を引き取った。

「駅前でさ。明日香ちゃんってあんたの腕に抱きついてたでしょ。それもずっと」

 池山が刺されて呆然としていた僕たちを、兄友たちは目撃していたのか。

 こうなってはもう誤魔化しようもなかった。僕は覚悟を決めた。

「僕は明日香と付き合っているんだ。だから、手を繋ごうが抱き合おうが君たちにとやか
く言われる筋合いはないんだ」

 これは最低の言い訳だったろう。奈緒が僕の実の妹だと知らない彼らに対しては。

「おい。おまえは奈緒ちゃんと明日香ちゃんと二股かけてたのかよ」

「ちょっと兄友! あんたの言い方じゃだめよ。あたしに任せなさい」

 女さんが再び兄友をいさめてくれた。

「言いたくないけどさ、奈緒人君ってこれまで恋愛経験っていうか女の子と付き合ったこ
とないんでしょ」

「・・・・・・何が言いたいんだよ」

「誤解しないで聞いてね。別に君のことを馬鹿にしているわけじゃないの。でもさ、わず
かな時間の間に可愛い女の子二人から好かれて、奈緒人君は少し調子に乗っちゃってるん
じゃないかな」

 何だそれは。僕は女さんの言葉に唖然として反論すらできなかった。僕は彼らにそんな
風に思われているのか。

「別に責めてるんじゃないよ。誰にでもありがちなことだよ。でも、少し立ち止まって考
えた方がいいときじゃないかな」

 なだめるように微笑みながら彼女は言った。


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