206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 22:37:18.33 ID:ctdSSd06o
さっき僕が奈緒を迎えに行かない理由を聞いて顔を赤くした明日香は可愛らしかったけ
ど、今の彼女の表情にはその片鱗すら覗えない。
昨日も考えたように明日香の悩みはいくつか考えつくことはあった。入院していて今だ
に意識不明の池山の容態。未遂に終ったとはいえ奈緒に仕掛けた残酷な仕打ちへの後悔。
結果的に利用したようになった有希への罪悪感。突然の両親の不和。
そして・・・・・・、奈緒や玲子叔母さんと明日香との間でふらふらしていつ自分の彼氏であ
るはずの僕への不安。中学生の彼女にとっては重すぎる悩みだし、俯いて暗い顔をするの
も無理はない。
僕は奈緒の言葉を明日香に伝えようとしたのだけど、こんな状況でそんなことを迷いが
出てきた。
「寒い?」
とりあえず僕は話を変えてみた。
「へーき」
でもいつかは言わなければいけないことだし、明日香の悩みだって今日明日に解決する
ようなものではない。それに僕が心を決めたことを伝えることができれば、少なくとも奈
緒や叔母さんとの関係で明日香を悩ますことはなくなるかもしれない。
「あのさあ」
僕は決心して明日香に声をかけた。
「うん」
「・・・・・・奈緒に言われたんだ。そのことをおまえにも話しておかないといけないと思っ
て」
「・・・・・・うん」
僕は明日香にありのままを打ち明けた。明日香と生涯添い遂げようと思うなら隠しては
いけないことだと思ったから。
『あたし・・・・・・。奈緒人さんが実のお兄ちゃんでもいいと思ったの。こんだけ好きになっ
た人があれだけあたしが求めていた人だったのなら』
『気持悪いでしょ。でもあたしはあのときそう決めたの。そしてその後、お兄ちゃんと手
を繋いで抱き合ってキスもしたけど、後悔なんかしてないよ』
『世間じゃ近親相姦とか言われるんだろうけど。でも、あたしは本当のお兄ちゃんのこと
が好き。恋人としても兄としても。だから悩んだけど何も気がつかない振りをして、お兄
ちゃんと付き合ってたの。お兄ちゃんには何も言わなかった。っていうか言えなかったけ
ど』
『・・・・・・言っちゃった。お兄ちゃんには気持悪いって思われるよね』
『お願いだからあまり悩まないで。お兄ちゃんが明日香ちゃんのことを好きになったのな
らそれでもいいから。さっきお兄ちゃんが言ってたじゃない? あたしが妹だとわかる前
だったら明日香ちゃんのことは振っていったって。あたしにはそれだけで十分だから。こ
れ以上お兄ちゃんに何かしてほしいとか望まないから』
『でも、お兄ちゃんには悪いけど自分の気持ちには嘘はつけないから』
『だって好きなんだもん。お兄ちゃんが・・・・・・奈緒人さんのことが好きなんだもん。お兄
ちゃんに駄目って言われたって自分ではどうしようもないの』
『わかってる。さっきお兄ちゃんが言ったとおりだよね。あたしはお兄ちゃんとは結婚も
できないし子どもだって産んであげられない。そんなことはわかってる』
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