207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/20(月) 22:37:46.51 ID:ctdSSd06o
僕は奈緒から告白されたことを洗いざらい明日香に話した。それから俯いたまま身動き
すらしない明日香に話しかけた。
「奈緒は僕が実の兄だと知っても僕のことが好きだって、僕と恋人同士でいたいって言っ
てたよ」
「そう・・・・・・」
明日香は俯いたまま表情を変えずにぽつりと言った。
「でも、僕が今好きなのは明日香だけだよ。明日香さえよければずっとおまえの彼氏とし
て一緒にいたい」
明日香は身じろぎしなかった。
「・・・・・・明日香?」
正直に言うとここまではっきりと自分の気持を話せば、明日香はきっと僕の胸に飛び込
んでくるくらいのことはしてくれるのではないかと思っていた。これまでも明日香を傷つ
ける行動を繰り返していた僕だけど、以前心を開いて明日香に正直な想いを伝えたとき、
彼女は僕に泣きながら抱きついてきてくれたのだから。
でも今日は何だか様子がおかしい。告白したときの、プロポーズしたときのような感情
を露わにした明日香とは全く違う。
「うん。わかった」
明日香はただそれだけを言った。それでも僕に気を遣ったのかもしれない。ここで初め
て僕の顔を見てくれた。
「お兄ちゃん、そろそろ帰ろう」
僕は不安に苛まされながら黙って明日香を見た。
「ほら。行くよ」
そんな僕の様子に構わずに明日香は立ち上がった。帰宅途上、明日香は僕の手を握ろう
とすらしなかった。
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