過去ログ - ビッチ・2
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326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/07/24(水) 23:46:20.64 ID:WX+iqy8+o

「まあ、いいよ。まだ時間があるからもう少し練習してね」

「はい、ボス」

 二人は中学生の有希ちゃんに媚びるような笑顔を見せた。

「で、この人は?」

 急に真面目な口調で二人のうちの一人が疑わしそうに言った。

「唯ちゃんだよ」

 そう言えばわかるとでも言いたげに気楽な口調で有希ちゃんが言った。

「結城唯です」

 これだけではわからないだろうからあたしは言葉を続けた。

「結城法律事務所の事務スタッフです」

「ちょっと、有希ちゃん駄目じゃん」

 狼狽したように受け付けの女性が言った。

「駄目って何で」

 有希ちゃんは少しも動じていないようだ。

「法律事務所の方の表の人たちをここに入れてはいけないと、ボスから言われてますか
ら」

 急に敬語で切り口上になった彼女が言った。

「ボスって?」

「え」

「ボスって誰? 名前を教えて」

 急に気弱になった受付の彼女は口ごもった。

「それは・・・・・・、太田先生でしょ?」

「違うよ」
 中学生の有希ちゃんが傲然と言った。「法律事務所じゃないんだから、ここのボスはあ
たし。ついでに言うと昨日までチーフだった安江さんは辞めてもらったからね」

「あ、はい。すいません」

「わたしが連れてきた人を入れない権限なんてあたなたちには無いんじゃないかな」

「あ、はい」

「あとで加山さんが初出社してくるから、来たら教えて。あなたたちの新しいチーフよ」
 そう言って有希は奥の部屋に向った。「パパがあたしをボスに選んだんだから、ちゃん
と言うことを聞いた方がいいと思うよ」

 有希ちゃんはそう言い棄てると先に立ってこのオフィスの奥の方に入って行った。あた
しは気まずい思いを隠しながら有希ちゃんの後を追った。

 受付のあるロビー的な部屋を通り抜けると、短い廊下の両側に幾つかのドアがあった。
そのうちの一つのドアを開けて有希はあたしを中に招じ入れた。

「ここがあたしの部屋なの。学校に行きたくないときは最近はいつもここにいるの」

 高層のオフィスビルには似つかわしくなく少女っぽい部屋がそこに作られていた。でも、
そのこと自体にはあたしは驚かなかった。もともと太田先生に甘やかされていた彼女は、
うちの事務所に自分専用の部屋を持っていた。そこも感覚的にはここと同じような感じだ
ったし。

「もう十四階の部屋は撤去しちゃったから。あたしに用事があるときはこれからはここに
来てね」

 有希ちゃんがピンク色の大降りのソファに埋まるように座って言った。

「いいの?」

「唯ちゃんならいいよ。カード渡しておくからよかったら持ってて」

 唯ちゃんがあたしにカードをくれた。


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