過去ログ - ビッチ・2
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376:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 22:38:10.91 ID:mxiU2Byio

「駄目ですか?」

 有希は池山の目を見つめて再び繰り返して言った。

 最初に目を逸らしたのは池山の方だった。

「しかたねえなあ。おまえ、そんなに俺に興味があるのかよ」

「はい」

「じゃあ、ちょっと出るか。一緒に来い」

 池山は虚勢を張っているのか、彼女の手さえ握らずに店の外へ出て行った。それでも有
希が付いてくるのか不安だったのだろう。店の外に出たとき、彼は有希の方を振り返って
彼女が付いてきていることを確かめたようだった。

「こっちだ」

 池山は繁華街の更に奥の方へ向って行った。素直に彼の後を追いながら、有希は背後を
確認した。大丈夫。パパの忠実なボディガードはちゃんと自分の後を密かに追ってくれて
いる。遠山さんがいてくれれば大抵のことは問題ないはずだ。

「ちょっと待ってください」

 有希はそう言って池山に追いつくと彼の腕にしがみついた。少しだけ見せた動揺を隠す
ように池山は有希を連れて夜の街の底に入って行った。

 そこは小さなバーだった。外には看板も何もないので一見の客が入ってくることはまず
ないだろう。何の表示もない木のドアを開けて池山は迷わずその狭い空間に歩み行った。

 薄暗い店内の片側にはカウンターがありその中に一人の男がグラスを磨いていた。池山
はその男に声をかけた。

「渡さん。ちーす」

「何だ博之か。っておまえなあ」

「何すか」

「おまえ・・・・・・その子」

「さっき知り合ったんですけど」

 渡と呼ばれたバーテンダーが困惑したように有希を見た。

「君、中学生だろ。その制服は富士峰女学院だよね」

「あ、はい」

 有希は反射的にとっておきの笑顔を渡という男に向けた。パパにだって滅多に向けない
くらいの表情だ。

「博之」

「はい」

 ずいぶん素直に池山が答えた。この二人はどういう関係なのだろうか。有希は少し不思
議に思った。池山はただ大人だというだけで遠慮して下手にでるような人間には見えなか
った。

「さすがに中学生の女の子を俺の店に連れ込むのはよせよ。俺だってこれで食ってるんだ
し、何かあったらやばいんだよ」

「それは誤解っすよ渡さん。別に俺が連れてきたんじゃなくて、こいつが勝手についてき
たんです」

 それを聞いて渡というバーテンはもっと難しい顔をした。


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