過去ログ - ビッチ・2
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59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/28(木) 23:54:46.51 ID:vWEKN95Po

 叔母さんの車が坂をゆっくりと下りていくのを見送ってから僕は鍵を開けて自宅に入っ
た。家の中は真っ暗だった。両親がいないのはわかるけど明日香はどうしたのだろう。あ
いつは今日は普通に学校に行ったはずだし、夜遊びも止めているので家にいるはずなのだ
けど。そういえば叔母さんの車から自宅を眺めたとき、二階の明日香の部屋も含めて家全
体が暗く夜空の底に沈んでいるみたいだった。

 さすがに明日は休めない。今までの僕ならさっさと自分の部屋にこもって適当な時間に
寝てしまっただろう。明日香の不在なんかそれほど気に病むことはなく。

 でも今は明日香のことが気になった。前にそうやって明日香を放置したとき、明日香は
飯田という男に暴力を振るわれていたのだ。

 今はあのときと違って僕は明日香の彼氏だ。彼女のことが気になるのは普通の心の動き
だった。でも、そんな明日香を今日僕は裏切った。それが最初で最後の出来事であったと
しても。そんな僕に明日香を心配する資格はあるのだろうか。

 今でも最後に別れたときの叔母さんの表情が僕の心を支配している。そんな心の片隅で
明日香のことを片手間に心配するなんて、そんな都合のいい思考があるか。

 僕は悩みながら二階に向った。明日香の部屋は電気がついていない。通り過ぎようとし
たとき、僕はその部屋の奥に人の気配を感じた。僕はそっと開いたドアから明日香の部屋
の中を見回した。

「・・・・・・明日香?」

「お帰りなさい、お兄ちゃん」

 暗い部屋の中から明日香の沈んだ声がした。電気も付けずに制服姿のままベッドに横に
なっていたようだ。

「寝てるのか? 具合でも悪いの」

「ううん、大丈夫だよ。お兄ちゃんこそ遅かったね」

「うん。でも本当に平気か? 何で暗いのに灯りつけないの」

 明日香が起き上がった。彼女はその手に自分の携帯を握っていた。

「・・・・・・叔母さんの車の音がした」

「ああ。叔母さんにここまで送ってもらった」

「叔母さんは?」

「帰ったよ。明日も仕事だろうし」

「そうか」

 相変わらず明日香の表情は暗かった。僕は思わず彼女の傍らに近寄った。ベッドにペタ
ンと座ったままで明日香が静かに僕の腰のあたりに抱きついた。


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