61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/28(木) 23:55:57.66 ID:vWEKN95Po
これはいったい何なんだ。明日香が僕と叔母さんの後をつけて撮影したのか。でも、こ
れで明日香に対しては何の言い訳もできなくなったのだ。下手に何もなかったと嘘をつか
なくて良かったのかもしれない。それでも全てを話せるわけはなかった。叔母さんが僕の
ことを好きだと言ってくれたこととかを。叔母さんは明日香のことを考えてもうやめよう
と言ったのだし、僕もそれに同意したのだから。
「驚いたでしょ? 友たちが偶然に江の島でお兄ちゃんたちに出合ったって言って送って
くれたの。随分遠くまでデートしたんだね」
「いや、デートとかじゃなく」
「お兄ちゃん?」
「う、うん」
「今日のことは全部あたしのせいだから、お兄ちゃんも玲子叔母さんもあたしに罪悪感を
感じることはないんだよ」
「だって・・・・・・」
「そのうえで改めて聞かせて。お兄ちゃんは玲子叔母さんのこと好き? いや、そうじゃ
ないね」
明日香は言い直した。「お兄ちゃんはあたしと玲子叔母さんのどっちが好き? もっと
言えば、あたしと玲子おばさんと奈緒と有希で比べたら、お兄ちゃんが女性として一番好
きなのは誰?」
奈緒と有希の名前まで出てきたことに僕はびっくりした。僕と玲子叔母さんがキスして
いる画像を見た明日香は、玲子叔母さんのことだけではなく根源的な問題を解決しようと
考えていたのだった。
それは僕にとっても考えたくない厳しい質問だった。さっきまで自分の情念をぶつけ、
それを受け止めてくれた年上の玲子叔母さん。告白に答え一生一緒に暮らそうかと口説い
た義理の妹の明日香。
そして、僕の始めての恋人であり、今では悲劇的な別離を乗り越えて奇跡のような再開
を果たした奈緒。卑怯な考えだけど優劣なんかつけられない。それでも僕は今は明日香に
返事をする義務があると思った。
混乱した思考の中で、唯一そんなことはないと言い切れるのは有希だけだった。少なく
とも僕の方は有希に対しては恋愛感情は全くない。昔、告って振られた女さんに対する気
持よりももっとない。
・・・・・・答えはもうわかっていたのだ。それは自分の本心ではないにしても。僕はそれを
明日香に言う前にもう一度深呼吸した。ここで答えてしまえばもう今度こそ永遠にそれを
貫くしかなくなる。
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