過去ログ - [安価][選択][コンマ]　ダンガンロンパ　4　真 -SS速報VIP

過去ログ - [安価][選択][コンマ]　ダンガンロンパ　4　真

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940:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:36:49.07 ID:ZfgmnGXw0
彩菜や彩香が不思議そうな顔を浮かべた。殺し合いとは普段聞いたことがない単語なので、現実味がないのもよく三人にとってはわかる。多分他のみんなも同じことを思っているだろう。愛は続けて言った。
「多分、乗りそうなの大野さんたちだと思うけどさ、仕方ないよね。疑ってもおかしくないぐらい、あの人達は悪いことをしているもの。だけど、私達黙ってるだけで本当にいいのかな。何もしない方が安全なんだろうけどさ」
愛の言葉を聞いて、彩香と彩菜は考えるように黙ってしまった。それは愛も同じことだ。何もしないことは確かに安全で、ひょっとしたら最後まで残れるかもしれない。だけど、本当にいいのだろうか。何もしないまま、生きても後悔することになる。死んでも同じことだが、そうなったら絶対悔しい。

941:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:37:17.12 ID:ZfgmnGXw0
「ねえ、大丈夫なのかな、このままで」
愛が最後にゆっくりと言った。しかし、次の言葉はここにいる誰の声でもなかった。
「このままでいいよ、黙ってるだけでいいんじゃない？」
そして、次に聞こえたのは銃声。思わず三人共に耳を塞いだ。幸い、誰もどこかに当たってない。誰も銃なんて持っていない。目を合わせたが、みんな不安と怯えが混じっていた。愛は辺りを見回す。遠くにうっすらとだが、誰かが立っているのが見えた。目を細めて見つめると、だんだんとはっきり姿がわかってきた。

942:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:37:54.27 ID:ZfgmnGXw0
「……え……？」
その人物は銃を握って嬉しそうに笑みを浮かべていた。さっき話題に出てきた人。転校してきたばかりの渡辺がにっこりと愛達に向けている。三人の間に変な緊張が走った。

なぜ、この人が？
とにかく、最初に同じことを三人一緒に思ったのは確かなことだろう。彩香が震えた声で尋ねていた。

以下略

943:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:38:35.10 ID:ZfgmnGXw0
小学生を対象としたプログラム。
弟のクラスが、それに選ばれて帰ってこなかった。

944:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:39:14.82 ID:ZfgmnGXw0
死んだとわかったときの両親の落ち込みようはひどかった。ずっと一日中泣いていて、母親は目が腫れて、父親は仕事をやっててもどこか無気力だったようだ。愛はやるせなくなった。何でもっと強く支えてあげることができなかったのか。何でこんな時こそ励ますことができないのか。でも、わかったことがひとつだけある。できないのは、自分もまた弟を失った悲しみに溺れているのだと。

945:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:40:16.86 ID:ZfgmnGXw0
辛くて、みんなあの場所から逃げるようにここに引っ越したのに。
どうして、私も弟と同じ目に遭うの？また、お父さんとお母さんが悲しんでしまう。
そんなのは嫌。死にたくない。殺されるなんて嫌だ。
でも、友達が、ずっと一緒にいた人、が。私はまた何もできないというの！？

946:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:40:54.67 ID:ZfgmnGXw0
「いやぁああああ！！」

947:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:41:36.06 ID:ZfgmnGXw0
愛の叫び声に続いて、彩香も泣き出した。目の前で友達が殺された。それも、同じクラスメイトに。そのショックは隠しても隠し切れない。渡辺はどうでもいいような表情で溜息ついて彩香に銃を向けた。
「うるさいよ」
また、一発。それは彩香の胸部に被弾してしまう。彩香の身体がゆっくりと傾いて、地面に倒れた。漂い始めた血の匂いに愛は手で口を塞ぐ。一気に二人も殺された。これが、プログラムなのか。弟も、あんな風にあっさりと殺されてしまったのか？でも、それなら何で、弟は。

948:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:42:11.76 ID:ZfgmnGXw0
駆け巡る疑問を次から次へと浮かばせる愛をよそに、渡辺はこの場を去った。愛を殺さなかったのにも理由があってのことで。これからはまだ始まりの一部に過ぎない。全ては終わりのため。

949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 05:43:06.95 ID:ZfgmnGXw0
月下計介（男子９番）は非常に悩んでいた。これからどうするべきか、それともあきらめた方がいいのか。分校から出て少し歩いてみても全く危ないという意識はなかった。多少複雑だったのだ。今もゆっくり歩いているが、誰かに会いそうにない。それでいい。きっとそれでいい。今は誰にも会いたくないのだから。

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