過去ログ - [安価][選択][コンマ] ダンガンロンパ 4 真
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982:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/02(土) 06:02:51.29 ID:ZfgmnGXw0
意識が今にも遠めいていきそうだったが、何かが落ちる音が聞こえて現実に引き戻された。顔を上げて、 少し驚く。なぜなら、自分がさっきまで探していたかけるが立っていたのだから。そのかけるは何があっ たかわかっていないらしく、香太と在野を相互に見て必死に何かを考え込んでいるようだった。時間が経 つごとに血が流れていく。止まったときにはもう死んでいるのかもしれないと香太は思った。だから、せ めてかけるには。
「逃げ、ろ……っ!」
香太自身もびっくりするほど声を荒げた。かけるはギギギ、とロボットみたいに香太に視線を変える。思 考停止とはこのことなのだろうか。今のかけるには何も考えられることがなかったらしい。それでも香太 は逃がそうと叫んだ。
「お前、何、やってんだよ。逃げろって言ってるじゃんか……!」
「……え……?だって、え……?」
「いいから走って逃げろ!在野はやる気だ……早く!」
香太の言葉に、かけるは軽く混乱していた。在野がこのゲームをやるなんて想像もつかない。なのに、信 じたくなんてないが、それなら何で香太が刺されているのか。もうわけがわからない。わかりたくもない。
「水本。お前に支給されたもの、俺によこして」
囁くように在野が笑って言う。すぐに危険だと今になって実感し、逃げようとしたが倒れている香太を見 て逃げていいのかと迷ってしまう。香太に駆け寄って、体を揺さぶった。その度に香太が苦しそうに声を あげるがもう必死でそれどころじゃない。
「香太、一緒に……一緒に逃げよう、な……?早く……」
痛みですぐ返事はできないだろう。それを知らずにかけるは揺さぶりながら声をかけ続ける。その光景に 在野は溜息をついて、自分に支給された包丁をかけるの背中に刺す。うめき声が聞こえると同時に、血が じわじわと広がっていくが、在野は気にすることがなかった。

ただ、殺せばいい。ためらうことなんかない。
所詮、赤の他人だろ。クラスメイトなんて名前だけだ。

そのまま深く刺しながら、包丁の刃を抉るように回す。一気に抜いて血がついた刃をポケットにいつも持 っていたハンカチを取り出して、きれいにふき取る。香太とかけるをふと見るともう二人共動かなくなっ ていた。二人が持っていたディパックをそれぞれ漁ったが、両方はずれだった。ほとんど本のようなもの だが、中身を確認する必要はない。

いつもならあの二人はきっとこれからもいいコンビだっただろう。
普通に笑って、普通に泣いて、普通に怒って。
そう、いつもなら、こんな殺し合いに巻き込まれることを知らずに、
二人は、普通に死んでいっただろう。

「おやすみ、大下、水本」
軽く笑いかけてももう答えてはくれないが、死んでいるのだから仕方ない。普段の自分なら黙ってその場 を去っただろうけれど、今はそんなこと関係ない。もうクラスメイトの顔は、この先見れないのだから、 じっくり思い出に浸らせてもらうとしよう。


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