6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/22(金) 23:46:22.10 ID:/aXQ9vleo
――そして解散となった、その帰り道。
純「ま、私らに頼ることが梓の中でアウトだとしても、梓の周囲にいる人は私達だけじゃないでしょ?」
梓「……?」
純「プレゼントの話。私達は今回は梓にプレッシャー与えてるような、そんな立場になっちゃったけど」
梓「そ、そんなことない! 私は、皆は――」
純「あー、いやごめん、ものの例えだよ。上手い表現が思いつかなくて。……でも梓は今回は私達には頼れない。いろいろあって。そうでしょ?」
梓「………」
皆のせいで、とかそういうつもりはない。それは純もわかってくれてる。
実際、皆に頼ったっていいんだ。それでも憂は喜んでくれるはず。正解か間違いかで言えばそれだって正解なんだ。
それでも私は、皆に頼らずに自分だけで考えたい。上手く言えないけど、私の意地みたいな面が大きいんだと思う。
純「でも、梓が頼れないのはたぶん『私達』だけだよね、この場合」
梓「えっ……?」
ずっと『皆』とひとくくりにして考えていたから思わず声が出たけど、少し考えてみればそうかもしれない。
皆が頑張ってるから私も自分で頑張りたい。そんな気持ちにさせてくれた『皆』は、『今の軽音部の皆』だ。
純「梓の三年間はさ、もっと広いところにあるはずだよ。もちろん、憂のも」
梓「………」
言われなくても、うすうす感づいてはいた。
遠くにいるからこそ、相談できることもたまにはある。
その場の事情を知らないからこその視点で気楽にアドバイスしてくれる人がいることがある。
近くにいる人とどちらが大事か、とかいう話じゃない。両方大事で、両方を持っている私はすごく恵まれている、それだけの話。
そして純は、近くにいる人に意地を張りたいなら逆に遠くの人くらいは頼れ、と。そう言っているんだ。私の意地を否定ではなく、尊重するからこそ。
相手は……私だけじゃなくて憂の名前も出した時点で、聞くまでもない。
というか、以前にも私はその人を頼ったことがある。あの時はなんとなくだったし、遠くにいるあの人は具体的な案は出してくれなかったにしても、それでも私の心を軽くしてくれた。
今回もヒントの一つくらいはくれるかもしれない。あの人は憂とも距離は近いし。
梓「……そうだね。ありがとう純、今度何か食べに行こう」
純「その時は憂も連れて、ね」
梓「うん」
純にお礼を一つ言い、電話をするために自宅へと走った。
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