919:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 09:19:39.46 ID:nQ4y3AGI0
「『うん、わかった。好きにする』…なんて言うわけないじゃん。
生きるためには、他の班は全滅させなきゃいけないってルールだし。
割り切れならさ、リタイアすれば?」
永佳は静かな声でそう言うと、鈍色に光る自動拳銃コルト・ガバメントを両手で持ち、ゆっくりとその銃口を葉瑠と優人へと向けた。
雄大を撃った時と同じく、その表情には迷いが感じられなかった。
それを葉瑠も感じ取ったのだろう、引き攣った笑みを浮かべた。
「へぇ、様になってるねぇ…
成程…雄大くんを撃ったのは、永佳…かぁ」
「だったら、何?」
「逃げるッ!!」
コルト・ガバメントが火を噴くと同時に、葉瑠は立ち上がり優人の襟首を掴んでぶんっと腕を振るった。
優人はぐるんと地面を転がり、涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げた。
「あ…葉瑠ッ!!」
銃弾は葉瑠の左腕を貫通しており、普段から身に付けているためにややくたびれた学校指定の臙脂色ジャージがじわじわと一層濃い色に変色し始めていた。
今度こそ…今度こそ、覚悟を決めて、俺もやらなきゃ…
財前一人に任せてたらダメだ…!!
意を決し、英隆はベレッタM92Fを構えた。
それを目の端で捉えた葉瑠が、脂汗を額に滲ませながら英隆の方に顔を向け、ハッと笑い、吐き捨てるように叫んだ。
「そう、撃つなら撃てばいいさ、重罪人がッ!!
それで、アンタもろくな死に方せずに地獄に堕ちな!!
邑子か永佳か卓也くんか…誰に止めを刺されるのがお望み!?」
英隆は目を見開き、反射的に千世を見遣った。
リーダーである千世が味方に殺されたのなら、同じリーダーである英隆にもその可能性が大いにあるということに、今更ながら気付いたのだ。
千世に銃を向けた優人の姿に、邑子を、永佳を、卓也を重ね、3人に銃口を向けられた自分の姿が脳裏に浮かび、体が硬直した。
「その口、マジで邪魔」
永佳が再び発砲したが、弾は葉瑠にも優人にも当たることなく、軽トラックの窓ガラスを貫いただけに終わった。
「うう…うわああああッ!!」
優人が叫び声を上げ、コルト・パイソンを震える手で構え、永佳に銃口を向けた。
永佳が優人へ銃口を向けた。
引き金を絞りかけ――顔目掛けて何かが飛んで来たため、手で顔面を庇った。
葉瑠が落ちていた石を投げ付けたのだ。
「優人、それはダメッ!!
“その2”だッ!!」
“その2”という謎の言葉に、英隆も永佳も眉間に皺を寄せた。
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