過去ログ - 安価でシークレットゲーム5
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979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:03:51.43 ID:nQ4y3AGI0
 上原絵梨果(女子2番)は全くしゃべらなかった。喋る気力がないのだ。元々、気の小さい絵梨果は、仲良しグループの中でも最もおとなしい存在であった。そんな絵梨果がこんな殺し合いゲームに放り出されて、まともに喋ることなど出来るはずがなかった。
 完全に怯えきった絵梨果は意気消沈していた。
「絵梨果、大丈夫?」
 すぐとなりに座っていた眼鏡をかけた女生徒、石川直美(女子1番)が心配して話しかけてきた。
「う、うん…。だいじょうぶ…」
 絵梨果は無理矢理作った笑顔を見せながら言ったが、まわりから見ていると、どう見ても大丈夫には見えなかった。
「絵梨果、無理しなくていいんだよ」
 ちょっと気の強い性格の持ち主である小野智里(女子3番)が言った。
 そうだ、雅史が考えていたとおり、出席番号が並んでいるこの仲良しグループのメンバーの3人は集まっていたのだ。
 女子の中では一番最初に出発した直美が、次の絵梨果が外に出てくるのを待ち、絵梨果が出てきたあと、今度は入口近くに2人で身を潜ませ、奥村秀夫をやり過ごしたあとに、再び出入口から出てきた智里と合流したのだった。
 そして雅史が考えていたとおり、集まることが出来たのは、出席番号が近いこの3人だけであった。
「べ、別に無理してるわけじゃないよ…」
「あんたねぇ。私達に心配かけないように気を使ってるのかもしれないけど、そういう演技はよしなさいよ」
「智里、ちょっと落ち着こうよ。絵梨果も私達のことを考えてそう言ってくれてるんだから」
 イライラと話す智里をなだめるように直美が口を挟んだ。
 よく「類は友を呼ぶ」というが、この仲良しグループには、その言葉は相応しくなかった。なんせこのグループのメンバーは性格があまりにもバラバラだからだ。今の3人だけ見ても一目瞭然だが、このほかの3人も性格は全くバラバラであった。しかしどこかこの6人はうまが合ったらしく、自然と仲良くなっていった。もう中一以来の付き合いだ。
「ねえ、淳子達とはなんとか合流できないかな?」
 直美が話題を変えた。
「この島も広いからね。淳子達と会うよりも他の誰かに会う可能性の方が高いわけだし、探すのも安全とは言えないわね」
 直美と智里が意見を交わしているが、絵梨果にはその話に入っていく気力すらなかった。
 不安だ。もしかしたら私達は3人だけで、このまま死んでいくのだろうか? それともこの中の誰か一人だけが生き残るのだろうか?
 嫌な考えばかりが次々と絵梨果の頭の中を支配していく。絵梨果は自分に支給された、手の中に収まるくらいの小型の銃『ハイスタンダート・デリンジャー』を握りしめた。


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