984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:46:53.87 ID:nQ4y3AGI0
分校の場所から、林を南西に歩き続けていると、緩やかな坂が現れた。女生徒は迷うことなく、その坂を登り始めた。するとその先に、大きな洞穴の入口らしき空間が現れた。
ここに隠れよう。
ほんの少しポッチャリとした顔をこわばらせながら、南条友子(女子16番)は懐中電灯で中を照らしながら穴の中に入っていった。この中に隠れていれば、誰にも見つからないかもしれないと考えたのだ。
私は殺し合いなんてしたくない。もちろん死にたくもない。
元々気が弱い友子の目からは、常に涙が溢れ続けていた。分校を出発してから、この涙は一度も止まったことはない。
これだけ涙を流していたら、自分の体内の水分はゼロになってしまうようにも思えたが、人間の目からはこんなにも涙が出るのだと言うことを、初めて知った。
気持ちは完全に沈んでいたが、別のことを考えている方がなんだか気が楽に感じた。
実際に中に入ってみると、穴の中は思ったよりも広かった。洞穴と言うよりも、洞窟といった方が適切かもしれない。ごつごつとした岩が露出して、隠れられそうな場所は、いくらでもあるように見えた。
決めた。ここに隠れていよう。
暗い洞窟の中は怖かったが、外にいるよりもいくらか安心な気がした。
友子はとある岩影を選び、その後ろに荷物を置いて座り込もうとした。
「南条さん?」
突然声をかけられて、驚いた友子は飛び上がりそうになった。同時に声の聞こえた方に向けてスタンガンを構えた。
「待ってよ。僕だよ」
懐中電灯を声の聞こえた方に向けると、そこには相川透(男子1番)が立っていた。
絶対誰もいないと思っていたこの洞窟内に、まさか自分以外の生徒が先に来ていたのでビックリした。そして同時に怖くなった。
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