985:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 12:47:22.84 ID:nQ4y3AGI0
いつも明るく、どんなときでもお調子者で、クラス内でも人気者の透は、今まで学校内で泣くことなど無かったのだ。いや、もしかしたらあったのかもしれないが、少なくとも友子はそんな光景を見たことはなかった。いずれにしろ透が泣くことは珍しいことなのだろう。
逆に友子自身は自分でも自覚していたが、どちらかというと泣き虫であった。もちろん今も涙は流れ出し続けている。
向かい合って、そしてお互いに泣いているその光景は、もし別の誰かが見ていたとしたら奇妙な光景にしか見えなかったであろう。
「今まで一人でずっと不安だったんだ。頭がどうにかなってしまいそうなんだよ。頼むから一緒にいててくれないか」
友子に頼み込むように言った。泣いているのにもかかわらず、不思議と透の声はしっかりとしていた。
少しの間沈黙が訪れた。
そして沈黙を破るかのように、友子は口を開いた。
「分かった…」
それだけ言った。今の透の様子を見て、それが殺意を持つ者の様子には見えなかったからである。
聞いたとたん、透の顔がパアッと明るくなりいつもの色を取り戻した。そして制服の袖で顔の涙をふき取った。
「本当! ありがとう」
もういつもの透だ。態度も先ほどよりもさらにしっかりとしていた。
実際のところ、友子自身も精神的にかなり楽になったようだった。今までずっと一人で行動してきたが、ずっと不安でたまらなかったのだ。しかし今は違う。殺意を持っていない一緒にいられる『仲間』とも呼べる人物が現れたのだ。
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