999:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:04:11.46 ID:nQ4y3AGI0
どんなに悲しいことが起ころうとも、皆を元気付けるために明るく努めてきた私だけど、級友達が死に続けていくなか、今後も笑顔でいることが出来るだろうか。答えは否だ。いくら皆を元気付けるためにと、明るく振る舞い続けてきた私であっても、もはや笑ってなんかいられない。それほどに、今回与えられた絶望は、あまりにも強大なものだった。
憎々しかった。失われた幸福を我が手中に取り戻すために、悲しみに満ちた過去に背を向けて走り出していた生徒達に、まるであざ笑うかのように降りかかってきた災いが。
気がつけば、亜美の目元からあふれ出した涙が、光り輝く筋を描いていた。
もはや、私がいくら頑張って明るく振る舞ったとしても、皆に元気を与えることはできない。それが何よりも悲しかった。
だがいつまでも泣いてはいられなかった。亜美はブレザーの裾で目元を拭い、流した涙の痕跡を急いで消した。背後に誰かが立っている気配を感じたからだ。
亜美は背後に立っている人物へと振り返った。本当ならば手鏡を覗いて、涙の痕跡がきちんと消えたかどうかを確認したかったが、そんなことをする隙など見当たらなかったので仕方が無い。
背後に立っていた人物の顔は、亜美もよく知っていた。当たり前だ。相手は一年の頃から同じ教室で机を並べた仲なのだ。顔を知らないはずが無い。
「どうしたの? 何か用でもあるの?」
亜美は聞いた。だが相手は僅かに微笑んで見せるばかりで、質問には一向に答える様子は無い。
相手の様子が少しおかしいように思えた亜美は、もしかして、泣いていたところを見られただろうか、と少し心配になった。だがその心配も、すぐに恐怖によってかき消されることとなった。微笑みを見せていた相手の顔が、一瞬にして恐ろしき形相にすり変わり、渾身の力が込められた両腕が伸びてきて、亜美の首をいきなり掴んできたのだ。
1002Res/793.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。