998:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/03/10(日) 13:02:58.14 ID:nQ4y3AGI0
それだけは絶対に嫌だ。残されたほんの僅かな時間が尽きるまでに、絶対にこの島から抜け出す方法を見つけてやる。
亜美は全ての脳神経を集中させて考えた。だけど、思考能力の乏しい彼女がいくら頭を捻ったところで、良い方法が思いつくわけが無い。当たり前だ。亜美程度の頭で良案が考え付くなら、過去五十年以上に渡る共和国戦闘実験の歴史の中、参加生徒のうち何人もが会場から脱出し、今や収拾がつかなくなっていることだろう。だが、実際はそんな前例など、かの有名な一九九七年の沖木島脱走事件くらいしか聞いたことが無い。
一年に五十クラスが選出されるプログラム、その半世紀の歴史の中で、脱走の前例はたったの一つだけ。あまりにも低い確率だ。それだけ、プログラムからの脱出は難しいということだ。
となると、やはり残された生存方法は、たった一つに絞られてしまう。それは、プログラムのルールに従い、他の生徒を踏みつけにしてでも、最後の一人になるまで生き残るということ。
だが、まだ正気を保てていた亜美は、それだけは選んではならぬと自身に言い聞かせた。
もしもその禁断の決断を下してしまうなら、これまでに自分がしてきたこと全ては、いったい何だったというのだ。
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