過去ログ - 異形使い「あなたを追って、ここまで来た!」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 21:50:44.18 ID:rp+/xe4bo
すみません、リベンジさせてください
sageてひっそりやりますんで

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2013/03/02(土) 21:51:01.93 ID:rp+/xe4bo

 プロローグ



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2013/03/02(土) 21:51:57.86 ID:rp+/xe4bo

「お前を追ってここまで来た!」

 怒声にこもった呪詛の棘は、相手の芯にしっかり食い込んだだろうか。と彼女は眼を凝らした。
 叶うならば憎しみの強さだけで相手をずたずたにしてやりたいと思う。
以下略



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2013/03/02(土) 21:52:33.32 ID:rp+/xe4bo

 第一話 荒野と異形使い



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2013/03/02(土) 21:53:10.17 ID:rp+/xe4bo

 風の音を貫いて警笛が鳴り響いた。
 急いで馬車を飛び出すと乾いた空気に目がひりつく。ティナは一度だけ瞼をこすり、それから駆け出した。

 荒野の風が潤うことなど稀だ。雨が降らないわけではないがこの大地は水はけが良過ぎる。
以下略



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2013/03/02(土) 21:53:58.41 ID:rp+/xe4bo

 頭部をすっぽりと包むフードが暑苦しい。
 口元を覆う黒布は走るための呼吸を邪魔している。
 両方ともむしり取ってしまいたかったがそれはできない。顔を隠すことは重要だった。

以下略



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2013/03/02(土) 21:54:33.46 ID:rp+/xe4bo

 悲鳴――というよりはただ単に驚いただけか、声が上がる。
 相手に手傷を負わせることまでは期待していなかったが、それでも襲われている御者から注意をそらすだけの効果はあった。
 今回御者を失うわけにはいかない。人員が足りていないのだ。賊に襲われて人数を減らすのは避けたかった。

以下略



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2013/03/02(土) 21:55:38.50 ID:rp+/xe4bo

「護衛はいないんじゃなかったのかよ!」
「こんなの聞いてない!」
 仲間を押しのけてまず二人が逃げた。残る五人を見据え、ティナは右手の革手袋に左の指をかけた。
 気配を察したのだろう、さらに二人が逃げた。
以下略



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2013/03/02(土) 21:56:09.58 ID:rp+/xe4bo

 想像するに、ガキだから未熟と見るかガキとはいえ異形部隊と見るかで揺れているのだろう。
 あまりいい状況とは言えない。

 使わなくていいなら正直あまり使いたくはないのだが、そうもいかないようだ。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 21:56:44.31 ID:rp+/xe4bo

「うわあっ!」
 ほとんど悲鳴に変わった声を上げ、賊らが矢を放った。
 目には見えない速度で飛来するそれは、しかしティナに触れる前に何かに阻まれて逸れる。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 21:57:15.78 ID:rp+/xe4bo

 必死にもがいて立ち上がろうとする賊に、ティナはゆっくりと近付いた。
「ひっ……」
 腰を抜かして賊が這い逃げる。バタバタと動作だけは大きいが、歩くティナの方がまだ速い。

以下略



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2013/03/02(土) 21:57:44.04 ID:rp+/xe4bo

……

 全補給馬車の移動を一時止めて岩の陰に賊を引っ張りこむ。
 縛られて座り込んだ賊は、うなだれてすっかりしおらしくなっていた。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 21:58:11.14 ID:rp+/xe4bo

 植物域という形で分断された人の居住区は、一応のところ自給自足を基本としている。
 自分たちに必要なものは自分たちで用意したほうが当然ながらてっとり早い。

 だがそれにも限界はあった。ある植物域では栽培できるものが別の植物域では難しいか不可能といったようなことがときたま起こる。
以下略



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2013/03/02(土) 21:58:40.24 ID:rp+/xe4bo

 つまり、まず第一に一介の賊ごときが補給馬車がここを通ることを知っているのは奇妙だった。

 人手が足りていないという情報についてもそうだ。
 半年前の事件の調査のために軍は多くの人員を割いている。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 21:59:38.12 ID:rp+/xe4bo

「バジル」
 老人の名を呟く。呼ばれた老人は片眉を上げてみせた。
「おおかた提供者の名前を出せば命はないとでもいわれとるんだろな」
 まあ当然か。言われて納得する。
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:00:05.18 ID:rp+/xe4bo

 賊は老人の右手をまじまじと見つめ、顔を蒼白にした。
「ラクリマだ」
「ん?」
「ラクリマという男が俺たちにタレこんだんだよ……」
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:00:31.67 ID:rp+/xe4bo

◆◇◆◇◆

 荒野よりはいくらか湿潤な薄暗闇の中。
 少し前にラクリマと名を変えた男は、目を閉じて座っていた。
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:00:59.26 ID:rp+/xe4bo

 かつての名を捨てることには抵抗があった。
 たとえそれが彼女との再会のために必要なことであったとしてもだ。
 彼女がその声で呼んでくれた名前には、思っていたよりも執着があった。

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:01:25.50 ID:rp+/xe4bo

「ん? ああ、邪魔して悪かったよ。ごめんね」
 言葉とは裏腹に悪びれる様子もなく、エルネストと呼ばれた男は軽く手をひらひらさせて見せた。

 ラクリマは鼻から短く息を吹いた。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:02:12.68 ID:rp+/xe4bo

 問われたエルネストは首肯の気配と共に答えた。
「うん、ヴィルフレードの言ったとおりだったよ」
 肩越しに睨みをくれてやると、彼はへらりと笑って言いなおした。
「ラクリマの言うとおりだった。これでいい?」
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagasage]
2013/03/02(土) 22:02:43.10 ID:rp+/xe4bo

 馬車の行く手に町の影が見えた。
 荒れ果てた灰色の地平にぽっかりと浮かぶ緑色。

 規模はまずまずといったところだ。
以下略



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