過去ログ - P「始原のiDOL」
1- 20
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:06:50.97 ID:y8XKonFyo
 その体をがっちりと掴んで、出来ることならば引きずり倒すつもりであった。
 倒してしまえば、あとは皆で蹴りつければいいだけだ。

 だが、その指は真の体はおろか、衣服にもかすることはない。

 あるはずの抵抗がなかったためか、その男は前につんのめるようになった。
 バランスを崩した拍子に前に出た足を、真の足がひっかける。

 男は見事にすっ転んだ。
 しかも、隣の男を巻きこんで。

「へぇ……」

 響は真の動きをはっきりと目にして、そんな感嘆の声を漏らした。

 けして、目に留まらぬほど速いわけではない。

 ただ、彼女の体を掴もうとした男の動きより、わずかに速かっただけ。
 そして、男を転ばせたのも、タイミングを掴んだだけに過ぎない。

 もちろん、やくざたちは真の動きを観察したり、理解しようとしたりはしない。

 ただ、仲間が倒され、真を痛めつけるという目的をまるで果たせていないことだけが、意識にある。

「ね、もうやめようよ」

 真は転んだ男たちが起き上がるのを痛ましげに眺めながら、そんなことを言う。

 侮られているという屈辱が、男たちの頭にさらに血を上らせた。

「おるうぁあああ!」

 意味をなさない恫喝の声をあげながら、リーダーが囲みに割り入る。
 そして、その勢いのまま、真に殴りかかった。

 残った男たちがそれに応じて一斉に拳を繰り出し、蹴りを放った。
 稚拙ながら連携をとって、それぞれの拳や足が狙う場所も、それが真に届くタイミングもずらしつつ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
226Res/227.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice