過去ログ - P「始原のiDOL」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:08:52.59 ID:y8XKonFyo
 逃れる場所は無いはずだった。

 どちらに避けようと、誰かの拳は当たる。
 誰かが体をとらえれば、そのまま抱きついてでも動きを止めてしまえばいい。

「よっ」

 軽い声と共に、真の姿が消える。
 男たちは、そのこと自体にも気づく暇はなかった。

 とん、と軽い音が背後でしたかと思うと、軽く押される力を背中に、あるいは腰に感じる男たち。

 彼らには理解できなかった。
 その力によって自分の体のバランスが決定的に崩されたことも、それをしたのが自分たちを飛び越えて背後に回った真であることも。

 ただ、彼らはお互いが放った攻撃でお互いを打ち据えていた。

 痛みと驚きに身を退こうとする彼らの肩や尻を、またそっと押す手がある。

 腕と脚が絡み合い、シャツが肘に引っ張られ、首のチェーンに他の男の腕時計が巻きこまれた。

 見事に六人の男が絡み合い、慌ててもがけばもがくほど、彼らは自らの手足でがんじがらめになっていった。

「はいっ、と」

 そして、真の最後の一押しで、全員が一方に倒れる。
 良い音が次々して、壁が六つの頭を出迎えた。

 そのままずるずると力なく地面に崩れ落ちる男たち……が組み合わさった奇妙なオブジェのようなもの。

 真はしゃがみこみ、一人一人、意識はないが脈はあるのを確認して、ほっと息を吐いた。


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