12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:10:06.15 ID:y8XKonFyo
「やるなあ。でも、真なら、もっと簡単に片付けられたんじゃないか?」
「やめてくれよ。本当にボクは暴力が嫌いなんだってば」
響がからかうように言うのに、真は妙に情けない顔で応じる。
「ぐる……ぅ……ぐ……」
響の横に立つ男の喉から、そんな籠もった音が漏れたのは、そんな時だった。
「ん?」
真が目をやると、なにか苦しそうに上半身を折り、口元を押さえている。
その押さえた手の間から、うなり声のようなものと一緒にだらだらと唾液が垂れ落ちていた。
「あれ? 響、もうその人やっちゃったの?」
真の問いかけに、男のそばから飛び跳ねて離れながら、響が首をひねる。
「いや? 自分はなにもしてないんだけどな。おかしいな」
びくん、と男の体が震える。
その途端、男の背中がシャツを突き破りながら、大きなこぶのように盛り上がった。
「ありゃ?」
次いで、腕にも脚にもこぶのようなものがぼこぼこと浮き上がり、それらがつながっていく。
ついには以前の数倍の太さとなっていく男の手足。
さらにはがくんがくんと関節が外れたかのような動きで、男の手足が、胴が伸びていく。
この時点で衣服は全てちぎれ飛んでいるが、真と響が男の裸を見るような事態にはなっていない。
なぜなら、彼の膚は針のように突き立った剛毛で覆われていたからだ。
そして、男の体の脈動が終わった時、そこにいたのは二メートルを優に超える猿のような『なにか』だった。
ゴリラのようにも見える。
だが、ゴリラは顔の半分以上もあるような巨大な牙を持っていないし、なによりも、こんなにも下卑た光を目に宿してはいないだろう。
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