24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:25:21.01 ID:y8XKonFyo
のんびりとした調子で話しかけ、響は雪歩の立つ場所に近づこうとする。
その途端、周囲の影たちが、地をこするような、しかし、俊敏な動作で雪歩を囲むように移動した。
まるで、雪歩を響から守ろうとするかのように。
「大丈夫だよ。響ちゃんは765の仲間でお友達だから」
雪歩がようやく目を開いて話しかけたのは、膝を折って尻を落としている人間のようにも見える。
だが、腕は人より遥かに太く長く、肩から背にかけては、こぶのような筋肉が盛り上がる。
灰色がかった膚のとこどころ、肘や腹などは角質化していて、まるで鱗のようにも見えた。
何よりも目を惹くのは、その顔だ。
口は鼻と一体化して大きく突き出し、まるで犬のよう。
耳たぶはなく、毛の一本もない頭にふたのようなものがついた小さな穴がある。
それがおそらくは耳なのだろう。
そして、その目があるはずの場所には、なにもない。
口と鼻の上にはのっぺりとした膚があるばかり。
「食屍鬼か……。珍しいなあ」
「うん。地上にはあんまりいないもんね」
響と雪歩が親しげに話しているのに納得したのか。
食屍鬼と呼ばれた生き物たち――二十体ほどがそこにいた――は三々五々、それまでしていた作業へと戻っていく。
なにかを引きずっているような音や、ぴちゃぴちゃがりがりいう音が響いてくる。
後者は食屍鬼たちが、その名前にふさわしい行為をしているために生じるものだ。
「ずいぶん殺したみたいだな。十……いや、二十人くらいか?」
周囲に漂う血臭に顔をしかめる響。
こんなに派手にやらかすとはいったい何事だろうか。
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