過去ログ - P「始原のiDOL」
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/03(日) 22:26:58.23 ID:y8XKonFyo
「それくらいかな。なんだか外国の人たちらしいけど……。あ、私たちは後始末にきただけなんだ」
「そうなんだ」
「うん。うちはこの子たちがいるから、何かと呼ばれるの。うちとしても助かるし……」

 二人がそんな会話を交わしている間も、周囲の咀嚼音は続いている。
 たしかにこの様子なら、死体は跡形もなく消えてしまうことだろう。

「雪歩の家は魔術師の家系かなんかなのか?」
「ううん。でも、そうだね、普通、この子たちは魔術師に地底から呼び出されるんだけど……。
実を言うと私たち自身も、その地底の出身で、地底では支配者の立場なんだ」
「へえ」

「知ってるかどうかわからないけど、地底で生まれた種ってのは少なくて……。
大半が地上から迷い込んだり潜っていったりした結果、新しい存在に生まれ変わったっていうのが多いんだ。
それで、私たちは、だいぶ後になって地底に入り込んで支配者層に収まった経緯があって。
あ、もちろん、これは数万年とかの昔の話なんだけど」

「ほうほう」

 これまで響が関わってきた地底世界といえば、時折迷い出てくる食屍鬼やなにかを追い返すくらいが関の山。
 詳しいことなど知ろうとも思わなかっただけに、雪歩の話に、彼女は素直に感心していた。

「それで、一二〇年くらい前、地底で大きな戦いがあったらしくて。その中の一派が地底を捨てて、地上に出てきたんだって。
それがこの子たちと私のご先祖様」

 仕事を終えたのか、一体の食屍鬼が雪歩の傍に近寄ってくる。
 雪歩は響から視線を外すこともなく手を伸ばし、その食屍鬼の毛のない頭をなでてやった。

 嬉しそうに雪歩の手に自分の膚をこすりつける食屍鬼の様子に、響はなんとも言えない感覚を覚える。


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