13: ◆CwzTH05pAY[saga]
2013/03/07(木) 23:35:06.98 ID:IvaGbYZyo
「しかし、大会までもうすぐですねぇ」
「ほんと、あっという間ねぇ」
須賀君はアイスをかじりながらそんなことを言った。
私も同じようにアイス最中をかじりながら答える。
「初めてのインターハイかぁ……」
「そうね、そして、私は最後のインターハイ」
何気なく言った言葉だったのだが、須賀君はアイスをかじるのをやめてこちらを見た。
「……そうでした。部長、夏が終わったら引退なんですよね」
「そう、だから今年の夏は何が何でも勝ちたいの」
思わず本音が漏れた。
まぁ、ついでだ。それぐらいは話しても問題ないだろう。
「ようやく5人そろったからね。ある意味では最初で最後のインターハイ、かしらね」
「最初で、最後……」
「最初はひとりで途中でまこが来てくれたけどそれでも2人だけで、部活って言えるのかって言われたこともあるけど」
一人だけの時代の寂しさは、あまり思い出したくない。
たった一人、部室で麻雀の勉強をし続けたあの時期。
それでも、誰かが来てくれると思ってあの部室で待ち続けたのだ。
「それでも続けてきて、ようやく臨める団体戦」
それが無駄ではなかったという証明が欲しい。
耐えてきたのだ。報われたい。
「だから、勝ちたいの。私は」
あの寂しい思い出もそうすればきっと笑い話にできる。
そんなこともあったわね。だけど……といい思い出にできる。
「そのために、できることは何でもするつもりよ。最後だから、後悔したくないしね」
そう、だから私は須賀君を「おもちゃ」として利用する。
口に出した言葉に対して心のなかでそう結んだ。
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