過去ログ - 伊織「さようなら」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:48:23.01 ID:fz9LGbgw0

目を奪われていた事に気付いた。
たくさんの人の前で歌って、人を笑顔にして、人々に支持されて。
自分の存在を…認められて、いたのだから。

私はおばあさんに全てを話した。家のこと、私が思っていることと、実際の私のこと。
親身になって頷いてくれて、しっかりと聞いてくれていることにも喜びを覚えた。
ああ、理解してくれているのね。そう感じることができた。ただ、答えを求めた。

『お嬢さんは、どうしたいのかしら』と、開口一番の質問だった。
『その、素敵なお兄さんのようになりたいのかしら。それとも、お母さん、お父さんのように?』
答えに詰まった。確かになれれば嬉しい。けれど、なってどうするかなんて、考えてもいなかったから。

すぐに答えに行き着いた。認めてほしい。とりあえず、その一言だけが出た。
私の頭を巡る考えに反して、私の舌は流暢に回った。
水瀬財閥の娘だからじゃない。誰かのためにでもない、ただ、自分のために。
多くは望まない、たった1人でもいい…、私を、水瀬伊織を認めてほしい。

『答えが出たようで、よかった』
そう言ってくれたおばあさんは、まさに、魔法使いだった。




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