20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2013/03/12(火) 20:54:02.84 ID:fz9LGbgw0
私はここまでの事で気付いた。
私の今までの行動も、きちんと相手に素直になれば、気持ちが通じることを。
あれこれアイドルになるために画策していた事が、急に馬鹿らしくなったの。
だから、私はパパに直接話をしよう、そう思った。
きっとわかってくれる。わかってくれなくても、意思だけは伝える。
やりたい、目指したいという、意思だけは。
けれど、私はまだそれをするに値しないと思った。
私の周りにいる使用人への非礼を詫びていないから。
みんな、私のために懸命に働いてくれている。なのに、私がわがままを言ってしまって。
なんて失礼なことをしたのだろうと、胸が傷んだ。少しだけ、動悸も早くなった。
でも、やらなければならない。それが、私のはじめの一歩として。
家の使用人は毎日同じ人というわけではない。
長く勤め続けている人もいるが、定期的に休息を与えられている。
1週間かけて私は皆に謝罪を続けた。
私を責めても、構わないのです。仕方のない事をしたのですから。
そう言っても誰も私を責めたりしなかった。
ある使用人に私をどうして責めないのか、そう聞いた。
もしかしたら、と思う節もある。
彼は言った。
『決して、旦那様が怖いというわけではないのです』
『お嬢様は、過去を悔い、自らを改めようとしていらっしゃる』
『お若いのに、自らの過ちを潔く認めなさることは、そうそう出来ることではありません』
『よい方向に向かおうとしていらっしゃるお嬢様を、どうして責めることができましょうか』
『わたくしは、お嬢様の成長を拝見して、喜びすら感じておりますよ』
涙があふれた。
ただ、ただ、謝り続けた。
もう、このような過ちだけはすまいと、固く誓ったの。
そして、全てを変えるその日がきた。
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