過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 10:53:16.56 ID:bwJZNukvo
「プロデューサー……クッキーのカスがポケットに残ったらどうするんですか?」
「……うるさいなぁ」
「うるさいってなんですか! 人が忠告してるのに!」
「後で食べよう。春香が作ってくれたクッキー、おいしいぞ」
「話を聞いてるんですか!?」
「それじゃ、行ってきます」
「は、はい。二人ともお気をつけて」
「い…行ってらっしゃいです……」
事務員の小鳥さんと私に挨拶をして、二人はケンカをしながら事務所から出て行く。
ケンカというより、律子さんが一方的に叱って、彼がそれを右から左へ流しているようだった。
でも、私にはそれが信頼関係の表れのように見えて。
「仲がいいですよね」
「うーん……いいっていえるのかしら」
あの頃は、律子さんを重点的にプロデュースを行っていて、私はレッスンの毎日だった。
そして、次の日。
「クッキーおいしかったわよ、春香」
事務所に到着して挨拶を交わした後、律子さんから感想を言われる。
「そ、そうですか、そう言ってくれると嬉しいです」
突然のことで、驚いてしまった。
「あ、でも……また作ってくれないかしら」
「?」
「仕事が終わって食べたから、少し湿気っていたのよね」
「わかりました、また作ってきますね!」
「よろしくね」
棘の無い、柔らかな笑みになっていた。
頼りない彼に対してだけ棘を出していたと、後から聞くことになる。
そんな、些細なことが嬉しかった。
急速に広がっていく世界が楽しかった。
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