過去ログ - 春香「これからのきみとぼくのうた」
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/03/16(土) 11:52:23.30 ID:bwJZNukvo

「俺は小さい頃から偏屈で……」

「ヘンクツ?」

「素直じゃないとか、心が曲がってるという意味だな」

「兄ちゃんが?」

「そう、俺がだ」


その話はまだ聞いていなかった。


「一人っ子で、両親も働いてて……貧乏暇なしの家庭だった」

「……」

「やよいも『貧乏なんですー』なんて言ってるけど、俺からしたら羨ましくて眩しかったりするんだよな」

「やよいには妹や弟たちがいるから、ですか?」

「そう。……とは言っても、話を聞いただけで、やよいの家族にはまだ会ったことはないんだけど」

「……」


自嘲気味に笑う彼。

私たち3人は静かに彼の小さい頃の話を聞いていた。


「……偏屈だったから、当然友達もできない。人が離れていくから、人との繋がりも持てない」

「……」

「兄ちゃんが言ってた、『アイドル』はその時?」

「いや、それはまだ後だ。……中学校に上がってからになる」

「『アイドル』……?」


小鳥さんが首を傾げる。

彼はその『アイドル』に魅了され、この仕事に携わりたいと決心をした。


「それは別の話ですから。……それで、他人との関わり方を知らないから、ひとりぼっちだったと」

「……兄ちゃんの話だよねぇ、信じられないよぉ」


真美が腕を組んで疑いのまなざしを向けた。

私たちは彼が仕事場でも事務所以外の人たちと楽しく雑談をしていたのを見ている。

偉い人から彼と同じくらいの年齢の人、私たちの共演者、それは男女年齢を問わず、誰にでも。

だから、真美の気持ちがよく分かる。私も彼がそんな性格だったとは信じられなかった。




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