191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:47:54.26 ID:7LnCOhGJ0
「中止はしない。今日、正々堂々と貴様らを潰す」
高木は、電話口で黒井がそう言うのを聞いて、笑った。
「何がおかしい」
「いいや―――お前も相変わらず元気そうで何よりだ」
「この私を前に、いつまでも余裕に構えていられると思うなよ、高木」
黒井は得意気に語りだした。
「この天候は、我々961にとって大いに追い風だ。
我が961プロと貴様ら765プロのステージは、使用している機材もステージの造りも同じ仕様なのだからな。
他のステージと違い一級品で揃えているから、こんな天候ではビクともせん。
逆に、他のステージは満足に機材の調子を整えることすらままならんだろう。
つまり、目当てのステージを失った客は我々に流れてくる」
電話口から、黒井の笑い声が聞こえてきた。
「分かるか、高木?
このフェスは、名実共に961と765の一騎打ちとなったのだ。
あの小僧共が望んだように、同じ条件で戦い、そして勝つ――!
765など、所詮は取るに足らん弱小事務所だという事を世間に知らしめてやる!!」
「いや、私達は負けないよ、黒井」
高木は、表情を崩さなかった。
「あいにく道を違えてしまった我々だが――
フェスが終わる頃には、お前にも私の考えを認めてもらえると信じている」
黒井がひとしきり悪態をついて電話を切るのを待って、高木も静かに受話器を置いた。
事務所の社長室は、まるで今日の嵐が嘘であるかのように静かだった。
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