195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 03:57:24.63 ID:7LnCOhGJ0
「はいはい皆集合ー! 集合写真撮るから並んでー!」
卒業式が終わり、教室の中で女子生徒の一人が号令をかけた。
「雪歩が、用事があってすぐに帰らないといけないから、早く撮るよー!」
「み、皆ごめんね。私の勝手なのに――」
「いいって雪歩ちゃん。皆で卒業できたんだし、今日は大事なライブの日なんでしょう?」
恐縮そうに頭を下げる雪歩の回りを、他の生徒が取り囲んだ。
「はいはい、雪歩は真ん中! 他ももっと寄ってー、写んないよー!
じゃあタイマースタート!」
集合写真を撮った後、雪歩は皆にお礼を言って今日のフェスのチケットを渡した後、足早に教室を去った。
「すごいよねぇ、萩原さん」
生徒の一人が、改めて感心するように言った。
「一時はどうなる事かと思ったけど、無事にああして立ち直るんだから、強いよね」
「ところで、あの車って、何だろう――?」
別の生徒が、教室の窓の外を指差しながら、恐る恐る言った。
「あ、あの黒塗りの――」
「い、いかにもヤクザ―――あっ!」
窓から見える黒塗りの車から、黒服の男が一人、傘を指して出てきた。
ちょうど、校舎から外へ出ようとする雪歩に向かって、黒服が歩いていくのが見える。
「あ、危ない、雪歩ちゃん!!」
しかし、雪歩は黒服の男と少し立ち話をした後、頭を下げながら何事も無く去って行った。
黒服もまた、雪歩に向かって丁寧に頭を下げているように見えた。
生徒達には、あの黒服と雪歩がどういう関係なのか気になるあまり、卒業式の余韻など吹っ飛んでしまっていた。
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