20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:23:03.52 ID:sFFUNv8Z0
『蒼い鳥』は、まさしく千早のためにある曲だと律子は感じていた。
十分な声量に加え、ビブラートを利かせた伸びのある千早の歌声は、765プロでも随一である。
それに加え、どことなく悲壮感を漂わせるこの曲は、時折影を見せる千早のイメージにも合っており、ある種の完成形に達しているとさえ思った。
通しで歌い終えて、千早は少し首を捻っていた。
自分で納得できない箇所がいくつかあったようで、手に持った譜面に何やら細かく書き込んでいる。
ストイックな性格も、千早の良い所であると律子は解釈している。
律子は、美希に感想を聞いた。
やはり、千早の歌唱力は美希も認めたようであり、しきりにすごいと連呼していた。
「普段もずっとこういう練習してるの?」
「えぇ。そうね、レッスン以外にも、例えば自宅で腹筋をしたりだとか」
「えっ、腹筋!? 何で、ちょっと触っても良い?」
突然、美希にお腹をさすられて、千早はかなり戸惑った。
律子が慌てて止めに入る。
「すごいなぁ。ミキには絶対マネできないの」
「あなたも、何か一曲歌ってみない?」
突然の律子の提案に、美希は「えっ」と間の抜けた声を上げた。
美希を連れてきた目的は、765プロの実力を見直してもらうだけでなく、彼女の実力を見るためでもあった。
「歌える曲あるかなぁ」
「最近の曲は、こっちの棚にあるわよ」
千早に案内されると、美希はしばらく曲を探した後、一枚の音源を手に取った。
「カラオケで良く歌う曲なの」
『蒼い鳥』とは趣向の違う、若い女性アーティストのアップテンポで華やかな曲だ。
律子は頷いた。
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