過去ログ - 劇場版・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/29(金) 23:39:57.32 ID:4764DHEAO
〜43〜

鳴護の楽屋に、カリカリというシャーペンを走らせる音が響く。
時折ハミングを交えつつも、その手指の動きに淀みはなかった。
まるでその動作そのものが、一つの音楽であるかのようにさえ。

麦野「(アーティストって生き物は、場所を選ばないのかね)」

鳴護「出来た!」

麦野「お疲れ様、って言いたい所だけどそろそろ時間っぽいよ」

鳴護「本当だもうこんな時間!ありがとう。ボディーガード以外にもマネージャーさんみたいな事までしてもらっちゃって……」

麦野「……別に(私にとっちゃ、これも仕事の一環だしねえ)」

出入り口付近に腕組みして佇む麦野には思えた。どうやらまた一つ、新曲が出来上がったらしいとわかる。
ただボディーガードという言葉に苦笑せざるを得ない。昔見た歌姫とSPの恋を描いた映画でもあるまい。

麦野「それ、新曲?」

鳴護「うん!インデックスちゃんと話してて、前から頭にあったメロディーと歌詞がやっと形になったの。いつかなんだけどね」

麦野「?」

鳴護「“この歌を二人で歌おう”って、インデックスちゃんと約束したんだ。早ければ明日のラストにでも御披露目したいかな」

そう言いながらメモ帳を胸に抱く鳴護。彼女は明日、エンデュミオンに立つ。孵化を迎えた雛鳥のように。
麦野も聞いた曲で言う所の、終わりのない夢(そら)へ羽撃くのだ。麦野にはない幻想(ゆめ)を抱いて。

鳴護「……ねえ、沈利ちゃん?」

麦野「だからちゃんはやめなよ」

鳴護「――沈利ちゃんは当麻君とどんな風に出会ったのかな?」

麦野「……別に。“ねぇ、そこのおに〜さん”って逆ナンした」

麦野は夢も希望も幸福も未来も求めなかった。あまりに目映いそれらは、星を掴むように困難な事だった。
だからこそ鳴護の問いに嘘で答える。すると鳴護はそれを見透かしたように、やや悲しげに微笑み返して。

鳴護「……そっかぁ」

禁書目録「ありさーありさーそろそろ出番なんだよありさー!」

麦野「インデックス、デカい声で喚かない。いってらっしゃい」

鳴護「頑張って来る」

そこへ呼び出しに来たノックのおかげで気まずい雰囲気にはならなかったが、鳴護には寂しく思えるのだ。

鳴護「(やっぱり名前呼んでもらえないなあ、あたしってば)」




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