過去ログ - 大学教授「私がアイドルのプロデューサーだと」
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31: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:17:57.90 ID:KMurB9r40
そう言うと高木はエスプレッソを頼んだ。少しして運ばれてきたコーヒーを
ブラックのまま一口含んだ高木をちらりと見て、私は冷え切ったコーヒを一口に飲み干した。

嫌な奴だ。そう、昔から。思えばあの頃から私はプロデューサーだったのかもしれない。高木のために詞を書いたあの頃から。


32: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:18:59.65 ID:KMurB9r40
満足しなかったのも当然だった。高校時代、私は既に高木というアイドルに出会っていたのだから。

そう考えて、私の目の前でブラックを不味そうに飲む高木は、およそアイドルらしい風貌をしていないことが無性に面白かった。
一瞬、もう一杯エスプレッソを頼もうと思った。高木と思い出話に花を咲かせようと思った。
しかし、プロデューサーになろうという決意を固めた今、不意に不安が込み上げてきた。果たして私はプロデューサーなれるのか。


33: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:20:15.58 ID:KMurB9r40
「考えさせてくれ」

と私は呟いた。
ちょうどブラックに砂糖を入れようとしていた高木は、大声で笑った。やはり高校時代と変わらない、あの笑顔で。

以下略



34: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:21:15.60 ID:KMurB9r40
嫌な奴だ。

「昔から変わらないねえ」という高木の言葉を振り切るように、私は席を立った。

「また、会おう」
以下略



35: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:21:57.30 ID:KMurB9r40
会計を済ませた私の背中に、高木の声がかかる。

「いい返事を期待しているよ。もし承諾してくれたなら、私のデビューシングルを贈呈しよう」



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/31(日) 14:22:27.22 ID:yH/BGYnMo
ハードボイルドだな


37: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 14:23:23.72 ID:KMurB9r40
プロデューサーになる決意をするまで
終わり


38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/31(日) 14:49:49.71 ID:62Ow58Yu0


期待


39: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 17:31:10.65 ID:KMurB9r40
続き投下


40: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 17:32:23.73 ID:KMurB9r40
高木との会談から2ヶ月、私は東京行きの新幹線に乗っていた。5月中旬平日の早朝、比較的空いていた自由席を選び、内陸側の座席に腰を下ろした。私と高木は静岡の出で、見慣れたものとはいえ、富士山を見ることを密かに楽しみにしていたのだ。
窓の外を眺めながら、私はこの2ヶ月のことを思い出した。


41: ◆HdrJTu3Tbs[saga]
2013/03/31(日) 17:35:45.70 ID:KMurB9r40
プロデューサーとなることを決めたものの、今まで芸能界に興味を抱いたことはなかった。
大学の同期や教え子に芸能界で活躍する者もいたが、時折手紙に同封されるコンサートや舞台のチケットを使って見に行くくらいのもので、学生の時から学問一辺倒にやってきた私が芸能界でうまくやれるのか不安であった。
ましてやアイドルのプロデューサーである。音楽やダンスの素養、トークやバラエティの素養も必要になるだろう。


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