11: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:58:56.29 ID:DjLuhO3Wo
「わからないの?あなたたちって、二人ともバカなんじゃない?
バカなのは咲だけだと思ってたわ。
というか、満も咲とあったなら連れて来たら良かったのに」
コートをクローゼットに掛け、鞄を部屋において来た薫は携帯電話を満に手渡しながら言った。
「そんなの、舞がくるなんて知らなかったもの。
咲と薫と私だけだったら、私が料理する羽目になるじゃない。
疲れて帰って来てるのに、そんな嫌よ」
「そう、それもそうね。
で、どこで咲と会ったの?」
満のいうことに一理ありと判断した薫はテンポ良く話を進める。
「タコカフェよあかねさんに話があって行ったの。
でも、無駄足だったわ。あかねさん、今日は鎌倉のほうへ行ったのよ」
鎌倉、と舞は聞き慣れた地名をつぶやいた。
「鎌倉か。中学生の頃によくいったわよね。
私たちの住んでた町から近かったから」
舞はそうね、と気のない返事をする。
――あの頃は良かった。あの頃は毎日が楽しくて、毎日咲が隣にいて……。
――一体どうして私たちは変わってしまったんだろう。
ふと、窓の外をみても、海も大空の樹も見えなかった。
「随分、遠くまで来てしまったわね……」
「……遠く?何を言っているのよ、全然遠くないわ。すぐそこよ」
舞の呟きに、薫が反応した。
それは、舞の心を正しく理解した上での反応だったとすぐにわかった。
だが、舞はそれに素直に頷くことが出来なかった。
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