過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
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◆nPOJIMlY7U
[saga]
2013/06/14(金) 01:13:56.58 ID:D30LGKJg0
もはや外道とか悪党とか、そんな言葉では足りない。この世界に存在する既存の言葉ではこの悪魔の所業を形容するには足りない。
そんな目に遭わされて、少年の心が耐えられるはずがなかった。
そうして、垣根帝督は研究者たちの思い通りに『闇』の奥へ奥へと沈んでいった。
全てを失った空っぽの少年は、何も信じず誰もそばに置こうとはしなくなった。
「まだまだこんなもんじゃねえぞ。俺が少しでも反抗したり非協力的な態度をとりゃ容赦はなかった。
俺を親身になって世話してくれてた施設の先生は文字通り“吹き飛んだ”。
俺が妹のように接していた女は『白顎部隊(ホワイトアリゲーター)』っつうプロジェクトに参加させられた。
そしてふるいにかけられて落第、脳味噌がドロドロに溶けて死んだ。
俺の兄貴分だった男は暴走能力の法則解析用誘爆実験を受け頭が弾けた。
全部俺の目の前で起きたことだ。この目でその瞬間を見てきた」
垣根の見て、受けてきた地獄は美琴の平和な想像力を遥かに上回るものだった。
そして垣根の地獄は今話したもので全部ではない。
むしろこの程度まだ一部を話した程度でしかない。
垣根自身の受けた人間の考えることとは思えないような実験。
更に恋人、その妹、恩師、親友、兄貴分、幼馴染、友人、知り合い、関係者……。
少しずつ関連性が薄まりながらもどんどんと凄惨な最後を遂げていく周囲の人間たち。
その数は数十人にも上る。こうなると垣根はもはや死を撒き散らす死神だった。
本人にそれを見せたのは、「お前が協力しないとお友達がこうなるぞ」という脅しを徹底的に刷り込むためだろう。
ただ垣根と関わりがあったから、近くにいたから、という理由だけで狂った実験の被験者にさせられてしまう。
垣根とて抵抗はした。だが最後には必ず敗北した。止めることは出来なかった。
所詮自分に何かを守ることなど不可能なのだと垣根は心底理解した。理解してしまった。
「もうやめてぇ!!」
涙を瞳に湛えて美琴は絶叫した。
聞いているこっちが耐えられないし、何より垣根の口からこんなことを話させたくなかった。
あまりにも残酷過ぎる。今まで美琴も学園都市の『闇』を何度か覗いたが、そのどれよりも凄惨だった。
頭二つ、三つは飛び出しているように思える。
この街の『闇』はどこまで深いのだろう。まるで底が見えない底なし沼だ、と美琴は思った。
「聞こえねえっつってんだろぉがよおおおおおッ!!!!」
垣根が再度吠える。
その顔はくしゃくしゃに歪められていて、垣根の心情を映している。
涙を浮かべて震える美琴と、顔を思い切り歪めて叫ぶ垣根。
もはやどっちが苦しいのかも分からなかった。
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