過去ログ - 美琴「何、やってんのよ、アンタ」垣根「…………ッ!!」3
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788: ◆nPOJIMlY7U[saga]
2013/07/09(火) 23:57:27.09 ID:pV7ChZsi0
「なァ」

「何」

「どォして妹達は俺に話しかけてくる。自分たちを万殺したクソ野郎に、何で関わろォなンて思えるンだ」

しかもあの妹達は一〇〇三二号。つまり『実験』最後の個体だ。
それはそのまま直接一方通行に痛めつけられた妹達ということである。
散々に打ちのめされ、もし上条当麻が来なければ、あるいは来るのがもう少し遅れていれば間違いなく殺されていた妹達。
そんな人間が何故自分に話しかけようなどと思ったのだろう。

「私はあの子じゃない。だからその答えを私は持ってない」

返ってきたのはそっけない、肉を最大まで削ぎ落としたような必要最小限の要素だけで構成された答え。
そこに必要以上に自分と関わりたくないという美琴の意思が見えたような気がした。
だが、それでいい。これこそ一方通行とあの顔をした少女たちのあるべき関係なのだ。
マゾヒストの気があるわけではない。だがそれでも罪人にとってはそれが心地良くすらある。

自らの罪を悔いている罪人にとっては、自分が傷つけた人間に笑顔で声をかけられるというのは一つの恐怖とも言える。
自らの罪の証をまざまざと見せ付けられているようで、この上ない苦痛でもある。
実際、僅かに……ほんの僅かだが、一方通行は不気味さを感じた。
だが御坂美琴は分かりやすいほどに分かりやすく、黒い感情を見せてくれる。
それが言葉に出来ぬ恐怖に動揺する一方通行の精神を、正常に戻してくれる。

「でも」

美琴は壁に背中を預け、腕を組んだまま一方通行を見ようともせずに呟いた。

「アンタは向き合わなくちゃいけない」

「どォいう意味だ」

「あの子がアンタに話しかけた時。あるいは話している時。
アンタにはあの子はどう見えた? 嫌々話しているに見えた? それとも怯えているように?」

思い出す。個性や感情が芽生え始めているとはいえ、未だ未成熟な彼女たちの人格は人間味に乏しい。
それでも。自惚れでも何でもなく、御坂妹は自分と嫌々話しているようには見えなかった。
そもそもの話―――そういった感情を一方通行に抱いているなら、無視すればいいだけの話なのだから。
そうせずに声をかけてきたということは、そうさせるだけの何かが御坂妹にあったということで。


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