334: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:15:19.99 ID:bRAFU2f40
今なら分かる。 火憐は、僕なら覚えているだろうと、期待したのでは無いだろうか。
火憐は大荷物を持っていた。 月火が言っていた不審者と言うのは間違いなく、火憐の事だろう。
僕と会う前に、恐らくは月火と揉めて、荷物を持って飛び出した所に丁度よく僕が通りかかったのだ。
335: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:15:55.68 ID:bRAFU2f40
その事実にすら気付かず、僕は火憐に、続けて酷い言葉を浴びせた。
「いきなりそんな事を言われても、売りもしませんし買いもしませんよ」と。
この馬鹿は、呆れた様に笑いながら、火憐に向けてそう言った。
336: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:16:25.53 ID:bRAFU2f40
どんだけ馬鹿だよ。
妹の事すら忘れるって、そんな馬鹿いねえぞ。
小さい妹に忘れられ、それだけでも火憐はかなり傷付いていた筈なのに。
337: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:16:55.81 ID:bRAFU2f40
僕だ。
338: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:17:39.66 ID:bRAFU2f40
恐らく、少しの間だけ気を失っていたかもしれない。
月火の顔は、涙に濡れていて、僕がどんな状況だったかはすぐに分かった。
それに加え月火の奴、和服が僕の血塗れになってるじゃねえか。 なんだかホラー映画みたいだな。
339: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:18:12.25 ID:bRAFU2f40
月火「そう、そっか。 でも、死んだんじゃないかって思ってさ。 私」
暦「殺されても死なねーよ。 僕は不死身だからな」
月火「そうだよね。 うん。 私のお兄ちゃんだしね」
340: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:18:49.95 ID:bRAFU2f40
月火「出掛ける? 今から? と言うか、血だらけだけど、大丈夫なの?」
暦「出かけるよ。 今から。 血だらけなのは、大した問題じゃねえよ」
月火「でも、でもさ。 どうみたって大丈夫じゃないじゃん。 お兄ちゃん」
341: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:46:29.81 ID:bRAFU2f40
月火「なにそれ、訳分からない。 こんな状態のお兄ちゃんを外に出す程、私は冷たくないよ」
暦「ありがとう。 だけど、行かないと」
月火「……それは、大事な事?」
342: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:47:55.64 ID:bRAFU2f40
月火が部屋から出るのを見て、僕は一度、自分の部屋へと戻る。
すげえすっきりとした気分だ。 頭の中に引っ掛かっていた物が、取れた感じ。
手早く着替え、財布や携帯をポケットに押し込み、階下へと向かう。
343: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:48:40.26 ID:bRAFU2f40
どうやら月火も着替えた様で、先程までのさながらホラー映画みたいな図では無くなっていた。
写真の一枚でも取っておくべきだったかな。 何年後かの月火に見せてやりたい。
そんな事を考えながら顔を拭く僕に、月火は声を掛けてきた。
344: ◆XiAeHcQvXg[saga]
2013/04/12(金) 18:49:08.57 ID:bRAFU2f40
暦「はは、そう見えるか」
暦「でも、僕はそんな物にはなれないよ。 本物にも、偽物にも、僕はなれない」
月火「よく分からないけどさ、頑張ってね。 お兄ちゃん」
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