173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/10(金) 20:29:58.16 ID:uAvvpyUMo
『クダ筋の裔として、出来る限りの呪いをかけるため、自らを生贄としたんだろう』
そんな莫迦なことがあるわけがないと言うひいおばあさんに、村長は言いました。
『遺体は山に入ってたった一日で、体中にトンネルのような穴が空くほど獣に食い荒らされていたそうだ。
その周囲には獣毛が一房ずつ針で縫い止められた札が散らばっていたとか。
札には村中の屋号が、血文字で描かれていた。ここまで聞いて、ただの死に様と思うかね』
村長は悲しそうに問いかけた後で、続けました。
『あの村は呪われた。私らには、その呪いの効果があるかどうかもわからん。わからんからこそ、あんたを行かせるわけにはいかないんだ、産婆さん』
その言葉の真剣さに、ひいおばあさんはそれ以上なにも言えなかったそうです。
その後、ひいおばあさんは、件の村へ行くのをやめました。
周囲の村々の人たちからも、やめるように言われたからです。
なによりも、例の父親自身に――まるで遺言のように――近づかぬよう言われていたのですから。
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