過去ログ - 錆白兵「ここはどこでござるか……」神裂火織「必要悪の教会女子寮ですが……」
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8: ◆4ipphlbOc2[sage saga]
2013/04/21(日) 01:44:40.39 ID:hIA84u8D0



その道中だった。

ぴくん、と鍛え上げられた武人としての直感か、聖人として天から与えられた才能ゆえか、背中を見つめる視線に気付いた。


「―――――。」


それを、何も気づいていないかのように装いながら視線の元を探る。


(間違いない)


神裂は近くにある窓の反射で後方を見てみる。今、彼女が歩いているのはやや大きめな道で、人が多い。前も後も人でいっぱいだった。

それをほんの二三秒、掠めるように見て、神裂は結論付ける。


(尾行されている)


神裂は先程と変わらず、相手に気付かれない様に、わざと無反応を装っている。

結局、視線は誰のモノかはわからなかったが、ここであきらめてしまうのはいささか不味い。追跡者はイギリス清教の敵対者かもしれないのだ。

神裂は視線を………否、


(視線が痛い―――)


殺気を分析する。ほんの、本当にほんの少し、0.0001vol%の殺気の残り香を鼻腔が感じたのだ。


(―――これは“黒”の可能性が高い)


経験がものをいう世界に長年浸っていた神裂は、追跡者を『敵』と考えた。

よって、神裂はこの追跡者の正体を知らなければならない事になった。例え勘違いだったとしても、念には念を入れた方がいい。

だからと言って、下手に振り向いたり、妙な素振りをすると、逆に追跡者は影をひそめてしまう。これでは追跡者の正体はつかめなくなってしまえば、元も子もなくなる。


(一体、私についてくるのは誰でしょうか? イギリス清教の敵か、それともイギリス清教内にいる必要悪の教会に恨みを持つ者か。どっちにしろ、英国の平和は守らなければなりません)


神裂はイギリス清教の最強戦力の一つである。そして魔術師である。

そこで神裂は、このまま知らないふりをして追跡者を人混みが無い場所まで誘い込んでやろうと考えた。

ここから一番近い路地裏などどうだろうか。出来るだけ暗くて道が入り乱れた、迷路じみた所なら逃走は土地勘が無ければできず、尚良い。

そうすれば追跡者が誰なのか判明出来るし、戦闘になっても人がいなければ巻き添えがいないから安心できる。


(気配から察するに、ざっと15mちょっと。尾行するには絶好の距離ですが、誘い込むにも絶好の距離です)


その距離に“何者”かがいる。

出来るだけ離さず、出来るなら近づけさせず、このままの距離間でひっそりと、気付かれずにおびき寄せる。


(よし、そうと決まれば…………――――――なッ!?)


―――だがしかし、追跡者は予想外の行動をする。


(気配が、急速に近づいてきた……?)


不可思議だ。そして理解不能だ。

尾行とは隠れてするものだ。堂々と近づいてくるのはあり得ない。有り得ない筈なのに。


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