過去ログ - 錆白兵「ここはどこでござるか……」神裂火織「必要悪の教会女子寮ですが……」
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◆4ipphlbOc2
[sage saga]
2013/04/21(日) 01:45:58.74 ID:hIA84u8D0
気配が、殺気が、尾行してくる人間が、
(―――こっちに近付いてくる………)
なぜ、追跡者は近づいてくるのか? ――――咄嗟に思いつくのは一つしかない。
(暗殺!?)
聖人相手に暗殺など舐められたものだと呆れるところだ。神憑りな直感を持つ聖人には、背後からの攻撃というものは通用しない。
(背後、15m…10m…8m……殺気がどんどん近づいてくる……)
針の様に細く、暗闇に潜む幽鬼の様にほんの微かな不気味さを漂わせているからだ。
―――本人は完全に隠しているようだが、神の加護を常時濃く受けている聖人には通じない。暗殺するなら本物の浮遊霊になり、透明になってしまわなければ。
それをあろうことかこの暗殺者は、白昼堂々、武人が一番気を張る背後から殺気をだだ漏れで近づいてくる。なんという図太さだ。
ここは一瞬で片を付けてやろう――――と、頭で考えたその時、それは下策だと、またも直感が訴えた。
(そうか。ここはごく普通の歩道は私の周りには十数人もの何も知らない一般人たちが行き来している。ここで戦闘になれば間違いなく巻き添えになって“誰かが傷つき、最悪死ぬ事になる”。しかも、私の聖人としての特性上、“私に攻撃が運よく外れても、その流れ弾が私の近くの人達にあたる可能性が高くなる!”)
神裂に緊張が走る。相手は格下にしろ、人質を取られてはどうもできない。いや、今まさに人質を取られている。戦えば人質に被害が出て、だからと言っても逃げれば誰かを殺すだろうと。
もちろん本当に相手がそうである確証はない。だが、可能性としては低くはない。
(どうする? これでは動きたくても動けない……)
汗がもみあげから流れる。
(敵ながら良く考えたものです。白昼堂々殺気を漏らして近づく図太い精神の暗殺者かと思えば、手口は狡猾。私の性格と聖人の特徴を捉えている。それに、私の性格もよく)
腰に差していた七天七刀の鯉口に親指を添える。
(………どうする。選択は二つ。どちらを選んでも私は生き残るだろうけど、どの道、誰かが殺されてしまう)
いや、もう一つ選択肢はある。それは、―――“神裂が暗殺者に大人しく殺される”だ。
神裂はここで死んでやるほどお人好しじゃないし、自殺志願者でもない。だが、ここで動いてしまって誰かが死ぬのは己の『魔法名【戒め】』に反してしまう。
ならばいっそ、ここで敵に背後から刺されてしまった方がマシだ。幸い聖人は普通の人間とは体のつくりが違う。神裂もその例外ではなく、人間なら致命傷である傷を受けても平然としていれる。刺された瞬間、七閃で背後の暗殺者を縛り上げる事は出来る。
(それでも、心配事は無くはありません。敵は私を聖人と知っている。暗殺したいのなら、聖人とて刺し殺す一撃必殺の槍を持ってくるはず)
実際、神の子イエスは磔と刺殺で死んだ。
聖人とはこの神の子と同じないしは近い体質を持つ人間である。イエスが処刑と刺殺で死んだのなら、聖人も処刑と刺殺で殺されぬわけがない。要は、普通の人間よりもそれらの殺害に弱いのだ。
銀のナイフ程度の攻撃なら大丈夫だが、聖槍【ロンギヌス】をモチーフに、しかも超高度に再現された霊装で脇腹を刺された日には、神裂でも危ういかもしれない。
どの道――――
(……神も仏も、地獄の沙汰も、運次第……)
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