過去ログ - ジャブローで撃ち落とされた女ジオン兵が…
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キャタピラさん
◆EhtsT9zeko
2013/04/28(日) 02:52:00.66 ID:mfe01pas0
やがて車がゆっくりと停車した。そこは、公民館のようなところで、中からは軍人たちがひっきりなしに出たり入ったりしている。
「ここがこの地区の軍の連絡所だ。中に、配給を手配してる担当の士官がいるからよ。そいつに言って、司令部まで連れてってもらってくれ」
「ありがとう、ほんとうに」
アヤはそう返事をして、私に車を降りるよう促した。
「良いってことよ!」
「あんたらはこれからまた巡回なんだろ?気をつけろよ!」
「あぁ、わかってるって!」
「危なくなったら」
「逃げるんだろ?ははは、オメガ隊のパイロットさまの言うことじゃぁ、聞かないわけにはいかねえからな!」
「そうだぞ。命は大事につかえ」
「そうするよ。じゃぁ、またどこかでな!」
彼らは口々にそう言うと、車をUターンさせて元来た道へと帰っていった。
私とアヤは、その姿が見えなくなるまで手を振っていたが、姿が消えたとたんにアヤが私の手を取って歩き出した。
「ここから離れよう。補給部隊は、顔の効く連中が多い。カレンの顔も多分知られてる。言い訳ができない」
「どうするの?」
「幸いここは、軍人の家族や、生活に必要な店や施設の従業員も住んでる都市だ。服屋もある。あんた、そこで服買って、着替えろ。そうすりゃ、今よりずっと怪しまれずに済む」
確かに、顔を知られているかもしれない人に成りすますよりは、市民Aになったほうが、安全なのは確かだろう。
「ほら、あそこなんかどうかな…ってか、アタシがたまに使う店なんだけど…趣味に合わないとか、そういうことは言わないでくれよ」
アヤが指差した先には、こじんまりとした構えの店があった。ジーンズやパーカー、Tシャツといった具合に、ごくごく素朴な品ぞろえだ。確かに、こんな感じの服装はアヤには似合いそうだ。
「私も似たような感じだから、大丈夫」
私はそう言って笑ってあげた。私も、義務教育を卒業してからはすぐにジオンの士官学校に入った。もっとも、エリート養成のための特別なコースじゃなくて、もっと下っ端の、技術職やパイロット、砲兵とか、その道の分野に特化した教育を施してるコースではあったけど。そこでは四六時中、制服で、休日に着る普段着なんて、ほとんど持っていなかった。わずかに自分で買ったのが、ここにあるようなごくごくありふれた感じのラフなものだったから、まぁ、抵抗があるというよりはむしろ、懐かしい感じの方が強い。
「ほら、これ金な」
そう言って彼女が私の手に紙幣を何枚か握らせた。
「持ち合わせこれしかないから悪いけど、とりあえず今着るものだけ買ってきて。あぁ、それと、カバンな。バックパックみたいんがいいだろ。いつまでも、ジオンの軍服を毛布にくるんで小脇に抱えとくのも怖いしな」
悪いよ…と言おうと思ったが、私は連邦の紙幣なんて持ってないから、ここは甘えるより仕方ない。
「ありがとう」
礼を言うと、彼女はすこし照れたような、恥ずかしそうな顔をして私から目をそむけ、
「あ、アタシはここで見張ってるから、ちゃっちゃと済ませてきて!あぁ、それと、このビルの3階にクアハウスがあっから、買ったらそこで汗流そう」
クアハウス、と言うのは聞いたことがなかったけど、汗を流せるところ、と言うからには、まぁ、公衆浴場みたいなものなんだろう。とにかくここでは、私は彼女の指示に従うほかに、できることはない。まだ、この不思議な敵兵を全面的に信頼しているわけではないけれど…でも、アヤはそんなに、悪い人、と言うか、これが嘘で罠で…と言うような回りくどいことをするような性格ではないだろうということだけは、確信をもてていたから、安心はしていた。
私はお店に入って、下着とゆったり目のジーンズにダークブルーのパーカーに、白い半そでの無地のTシャツを選んだ。それから、アヤに言われたとおり、少し大きめのバックパックを選んで買い込んだ。お店の人にお願いしてタグを取ってもらい、フィッティングルームで着替えを済ませて店の外に出た。
アヤは退屈そうに、でもちゃんと店の前で待ってくれていた。
「お待たせ」
私が言うと、彼女は
「はやかったな」
とニコッと笑って言った。
「悪いんだけど、アタシ、今の金が手持ち最後でさ。ちょっと銀行行こう」
アヤは、道の向こう側にあった銀行を指差して言った。道を渡って、銀行に入ろうとして、私は足を止めた。
「どした?」
「いや、私はここで待ってるよ。防犯カメラくらいあるでしょう?さすがに顔が映っちゃうのはマズイと思うし」
さっきの洋服店には、防犯カメラらしきものはなかったが、銀行ともなれば話は変わってくるだろう。私だけが映る分には問題ないのかもしれないが、アヤと一緒にいるところを撮られたら、アヤにまで迷惑をかけてしまう。
「そっか…まぁ、じゃぁ、すぐ終わらせるから、そこで待ってて」
アヤはそう言い残して銀行へと入っていった。
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