過去ログ - さやか「あたしが僕で僕があたしで」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/11(土) 23:34:00.92 ID:flz/a+mq0
病院からとはいえ、さやかの家に通じる道は大体分かっていた。
僕の家のある方向とほとんど変わらないし、昔何度も言ったことがあるからだ。
右腕に鞄を持ち、一歩一歩アスファルトを踏みしめ、左手に目を落としながら歩を進める。
僕は今、歩いてるし、鞄も持てる。
腕は治らないと言われて、歩くこともままならなかったこの僕がだ。
さやかの足と腕だけど、ちゃんと自分の意思で自由に動かせている。
不思議だな。
今まで当然のように出来てたことができなくなって、絶望のどん底に突き落とされたと思ったら、また出来るようになった。
なんでこうなったのか全然わからないけど、僕はこれをどう受け止めればいいんだろう。
今は少しだけ嬉しいけど、やっぱり単純には喜べないよな。
あくまでこれはさやかの体。
仮の体。
いずれ僕の意識はちゃんと僕の体に戻っていくんだろう。
そうなったら、結局僕はまたあの状態に……一生動かない腕の体に戻るんだ。
仕方がない、と諦めるしかないのだろうか。
元々あれが僕の運命だったんだ、と。
だけど……
さやか「そう簡単に納得できれば苦労はしない」
僕は嫌な人間だ。
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