過去ログ - さやか「あたしが僕で僕があたしで」
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41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/12(日) 00:15:36.04 ID:Dgfk4HX70
僕は携帯電話を持ってない。
持っていたけど、病院内で使う機会もないから入院中は解約しているのだ。
したがって、今さやかに連絡する手段はない。
本当はもっと話し合い、これからどうするべきなのかを決めていった方が良かったのだろう。
しかも僕が今さやかの体である以上、僕はさやかの普段通りの生活をしなければならない。
なおさら普段どうであったかを指南してもらいたい、というのに。
さやかの両親は共働きで、二人とも遅くまで仕事をしていることは珍しくない。
今日のように早く帰宅する方がよっぽど珍しいと、さやかは口にしていた。
それがよりによって今日だとは、なんともついてない。
さやか「まあ、仕方ないか。今日は早く寝てしまおう」
電気を消し、ベッドに横たわって見上げれば、今までの見慣れた景色とは全然違う天井だった。
当然といえば当然なのだが、なんとも言い難い、懐かしい気分に引きこまれた。
左腕を伸ばせば、暗いけれど確かにそこにあることが分かる。
柔らかくて、細くて、簡単に壊れてしまいそうなさやかの腕。
それが今は僕の腕になっている。
さやか「だからって、僕が自分の腕のように使うのは、何か違う」
きっと何でも出来る腕。
だからこそ、何もしてはいけないのだ。
何かをすればきっと、元の体に戻った時にあの時以上の絶望が待っているだろうから。
言い聞かせるように呟きながら、僕はさやかの匂いに包まれながら眠っていった。
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