過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/27(月) 07:24:28.80 ID:Mlv00GWXo

 わたしは問い詰めようとして、彼の名前を知らないことに気付いた。
 相手のことを知るのは対話の一歩目だ。何かの本に、それらしいことが書いてあった。
 名前は相手の情報の中でも、もっとも基本的なものだ。

 だとすれば、わたしという人間は、対話を放棄していることになるのか。 
 もしくは、忘れているのか。資格を失っているのか。深くは考えないようにした。

「あなた、名前は?」

 彼は少し変な顔をした。意外そうな顔だった。
 何かまずいことをしただろうか? いや。名前を聞いただけだ。特別なことじゃない。
 
「名前なんていいよ。呼ぶときは適当でいい」

 彼は悪戯っぽく笑った。




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